基本として、写真は「光と影」で構成されています。窓際の光を利用して花の撮影を行う場合、「光の捉え方」さえ理解できれば簡単にクオリティの高い画像が得られます。最初からファインダー越しに被写体を見るのではなく、まずは肉眼で光が美しく感じられる場所を見つけ出すことです。
窓際の光は太陽の動きとともに変化し、時間帯によって花の撮影に最適な場所も変わります。家中の窓際とその周辺をよく観察してみてください。光と影が織りなす美しい瞬間を見つけ出すことができるはずです。そこが、花の撮影に最適なスポットになるわけです。それさえ決まれば、後は花器を選んだり、背景となる部分をスッキリさせたり、あるいは背景紙などを利用するのもいいでしょう。
半逆光のすすめ
光の射し方ひとつで花の写真の印象は、大きく変わります。花が美しく見えるかどうかは、光の向きで決まります。「半逆光」と呼ばれる状態を覚えてください。半逆光とは、花(被写体)の斜め上部後方に太陽が位置する場合を指します。半逆光は花に質感と深みを与え、全体の輪郭を強調し、背景と花を分離する効果もあります。被写体の前方から光があたる順光が、花の撮影に向かない理由は、花が平面的に見えてしまうからです。
重要なのは、光と影のバランスであり、半逆光になる場所を見つけることです。この光の見方をマスターすれば、ひとつ上の写真が撮れるようになるはずです。
Pモードと露出補正
使用するカメラは、コンデジでまったく問題ありません。初心者にとっては、カメラの設定もプログラムモードでいいでしょう。プログラムモードは速いシャッタースピードと解放に近い絞りで設定されます。つまり、手ブレを防ぎ、淡いボケ味になり、花の撮影に最適な設定といえるのです。ズームレンズの望遠側で撮る場合は、三脚の使用をおすすめします。撮影に慣れてくると、必ずもう少し絞りを深くしたいとか、レンズの望遠効果やマクロレンズを使用してみたくなるはずです。技術的なことは、その段階ではじめて要求されるようになります。初歩的な撮影を十分に経験していれば、次のステップで要求される技術もすんなりと受け入れられるはずです。なぜなら、それは初歩的な撮影の応用編でしかないからです。撮影に関する技術はこのようにして身につくと考えればいいでしょう。
ただ、初歩的な撮影においても必要なテクニックがあります。それは「露出補正」です。カメラが決めた露出設定を基に、さらに自分の好みや必要に応じて補正を加えます。
基本として、明るい色の花や逆光などの場合、露出補正をプラス側に。濃い色の花の場合は、露出補正をマイナス側に設定します。カメラの液晶画面を見ながら調整できるので、自分で最適だと思う明るさに設定してください。露出は表現の手段でもあり、花の発色、質感にも影響します。慣れれば簡単に使いこなせるはずです。
写真集『MOMENT OF TRUTH』は、窓際の光だけを利用してコンデジで撮影しました。どのカットもプログラムモードに設定し、唯一のテクニックは露出補正です。この写真集を眺めているだけでも光と影を見極めるコツが掴めるはずです。
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