ブルバードM109Rの街中での走り心地はどうか?
ブルバードM109Rにまたがった時のファーストインプレッションは国産車に比べて圧倒的に遠いハンドルとステップの扱いにくさでした。私のように身長が高くないライダーは当然手足も短いので、欧州やアメリカの人が乗ることを想定して作られたブルバードM109Rのポジションには合いません。ブルバードM109Rのステップ位置は足を前に投げ出すフロントコントロールなのですが、シフトチェンジの際も後輪ブレーキを踏む際もつま先でなんとか行うことができるレベルです。
シート高は705mmとかなり低めに設定されていますが、シートがかなり広いので股が広まってしまい数値ほど足つきは良く感じません。ただし165cmの私の身長でも片足ならべったり、両足もつま先は着きましたので足つきに関しては心配することはありません。
早速、走り出してみると圧倒的なパワーを出力しているエンジンながら加速は驚くほどスムーズで街中でも充分に扱うことができます。ストップ&ゴーの多い街中で主に使うのは2速、3速で早めにシフトアップすれば扱いにくいということはありません。
ただし、少しエンジンの回転数を高めに回していくと一気に加速していきます。全くよどみなくレッドゾーンまで吹け上がるエンジンは低い回転のトルクを楽しむというよりはしっかりとまわす事で本領を発揮します。
またブレーキは重い車重をきっちりと制動しますが、GSX-R1000などに採用されているブレンボのブレーキと比べると、タッチはブレンボの方が良く感じられます。握ったら握った分だけじわりと効くブレンボのブレーキに比べて、ブルバードM109Rに搭載されているブレーキは握り始めではゆっくりと効き始め、強めに握るとガツンと効くようなイメージです。制動力はしっかりとあるので恐怖は感じませんが、使い勝手はGSX-R1000などに採用されるブレンボの方が良いように感じます。
極太タイヤに長いホイールベースを備えていることからコーナーはかなり気合を入れないと曲がらないかな?と思っていたのですが、意外にもハンドルが自然に切れ込み曲がりにくいと感じることはあまりありませんでした。
ただし、多少スピードが出ている状態でコーナーに入っていくと思っていたよりも車体が倒れず自分が思っていたよりも少し外側のラインになってしまうことが何回かありました。また交差点などの極低速で旋回しなければならない状況では重い車重のコントロールに気を使わなければならないこともありましたが、これはポジションの影響も大きいと言えます。
どうしてもハンドル、ステップが遠いのでハンドルを切ろうとするとかなり前傾にならないと腕に余裕がなく力が入ってギクシャクしてしまい、また車速のコントロール時にリアブレーキをつま先ギリギリで踏み込んでコントロールしている為に細かいコントロールがしずらいのです。
高速道路を80キロ~100キロ程度で巡航するのは非常に気持ちの良いバイクと言えますが、街中を流すにはストレスが溜まるシチュエーションもありそうです。
手に負えないと感じてしまうかもしれないモンスターマシン
日本国内向けに販売されている車輌のほとんどは日本人が運転する事を想定して作られているので、運転していてもストレスが溜まることがあまりありません。特にここ数年は各社「乗りやすさ」「扱いやすいさ」を重視している為にスーパースポーツモデルであっても普通に乗るぐらいであれば扱いやすさを感じることができます。
しかし海外向けに企画されたブルバードM109Rは一言で言えば「手に負えない」と感じてしまうことがあるかもしれません。とにかく車体がデカすぎるのです。極太のワイドハンドルは通勤時に狭いところを走るのは難しく、車体がわだちなどの影響で左右にぶれるとバランスをとるのに一苦労します。
私のように身長が低くても運転する事は全く問題なく出来ます。ただし、用途が街中走行や通勤だと言うのであれば絶対にオススメできません。排気量の大きいクルーザーモデルであっても、国内で販売されているモデルであれば、街中走行も許容出来ます。しかしブルバードM109Rは街中走行が得意とはいえません。
逆にある程度スピードが乗る道では快適に走行することが出来ます。一般道での60キロ巡航や高速道路での100キロ巡航はとても気持ちが良く、エンジンの心地の良い鼓動感を味わうことができます。
メインの用途を長距離ツーリングに定めるのであれば、最良の相棒となり得る一台でしょう。
ブルバードM109Rのエンジン音 マフラー音 車輌の各部詳細はこちらの動画で確認下さい。