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既発の個人向け社債投資のメリット・デメリット

預貯金金利、個人向け国債を始めとする国債の金利が低いことから、個人向け社債が注目されます。しかし、好条件の個人向け社債はすぐに完売となることから、なかなか個人向け社債を購入することができない人も多いはずです。そこで、やや条件は劣るものの既発の個人向け社債へ投資することも一考の余地があると思われます。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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既発の個人向け社債とは?

既発の債券をチェック

既発の債券をチェック

債券投資と言えば、大多数の人は新規に発行される債券=新発債へ投資することを思い浮かべるはずです。

個人向け国債や新窓販国債へ投資するには、当月に募集されている国債を購入するからです。しかし、個人向け国債を除くほとんどの債券は、発行された後も債券市場に流通(売買される)しているのです。この過去に発行されて市場に流通している債券を「既発債」と呼んでいます。

「既発債」=外国債券と考えられる人もいるかもしれません。なぜなら、円建ての既発債よりも外国債券(外貨建て)の既発債の方が頻繁に取引されているうえ、円建ての既発債を積極的に販売(PR)している証券会社は少ないからです。全ての証券会社を調べたわけではありませんが、野村証券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、ネット証券ではSBI証券、楽天証券、マネックス証券などが円建ての既発債を取り扱っています。

注意したいのは、新発債には購入時に手数料がかかりませんが、既発債では手数料が必要になります。ただし、手数料相当額は単価の中に含まれていると考えてください。購入単位は社債の額面金額となっていますが、額面100万円からが多いようです。

売却はその後の運用を考えてから

債券市場に流通している債券(既発債)を購入するのですから、逆に言えば既に保有している個人向け社債を満期償還前に売却することも可能です。通常債券の価格は、金利が低下すれば価格は上昇し、金利が上昇すれば価格は下落することになります。一時期よりは長期金利はやや上昇しているものの、それでも過去1~2年と比較すれば低下傾向にあることは変わりありません。1~2年前に購入した個人向け社債には含み益が発生しているかもしれません。

ただし、保有している個人向け社債などに含み益が発生していると言うことは、長期金利などの市場金利が低下していることになります。売却して含み益を実現益にした場合、その後は低い金利で運用することになりますので、売却の際にはその後の運用をどうするのかを決めたうえで売却の有無を判断するべきでしょう。

既発債に投資する際の注意点、証券会社によって価格は異なる

既発債に投資する際の注意点としては、既発の個人向け社債に投資する際も、基準は金利=利回りになります。そのほとんどはメガバンクや地方銀行の定期預金、あるいは個人向け国債などよりは金利は高いものの、地方銀行のインターネット支店の定期預金を下回ることはありえるからです。

また、個人向け国債の変動10を除けば、ほとんどの債券は満期まで利率が変わらない固定金利商品です。このため利回りが高くても満期償還までの期間が長い債券は控えるべきでしょう。低金利局面の鉄則は、長期の固定金利商品は避けることになります。

既発債で特に注意したいのは、同じ債券であったとしても証券会社によって価格が異なることです。新発債の場合、どの証券会社で購入しても価格等の条件は変わることはありませんが、既発債は異なるのでしっかりと価格の違いを把握したうえで購入する証券会社を決めたいところです。

一例をあげれば、昨年6月に発行された第43回ソフトバンク無担保社債(償還期限2018年6月20日)、利率1.74%。野村証券では価格102円64銭、利回り0.86%、大和証券では価格102円45銭、利回り0.927%(いずれも2015年5月8日現在)です。

既発債は流通市場での取引となると述べましたが、基本は証券会社が在庫として保有している個人向け社債などが販売されているに過ぎません。このため証券会社ごとに取扱い銘柄も異なること、在庫がないとその日は取扱いがないことには注意が必要です。新発債程ではないにしろ、マメに証券会社のHPなどをチェックする必要はあると言えるでしょう。

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