防災/防災関連情報

キャンプで発生する危険、事故を防ぐために必要な常識

春から初夏を迎える頃になると、気温の上昇とともに多くのキャンパーがファミリーを連れて野山に繰り出すようになります。お子さんたちと自然の中で過ごす時間は、大変有意義なものとは思いますが、毎年、悲しい事故が絶えることはありません。都会の日常とは違う自然の中では、様々なリスクが存在し、「自己責任」が常に問われます。今回はキャンプ場に存在するリスクの危機回避についてお伝えします。

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

camp

リバーサイドのテント設営は常に危険が伴う。                           

 

川沿いのテント設営は常にリスクが伴う


キャンプにまつわる事故で、すぐに思い出すのが2014年8月に玄倉発生した四駆の横転事故があります。この事故についてはキャンプ場運営側の大きな問題があり、そもそも「川の中」である中洲などにテントサイトを設定していいのか、というところで、他の事故とは同等に語るべきではありません。この時は、管理事務所に「避難をしたほうがいいか」と問い合わせた上で、指示に従った結果、運悪く車が横転して3名の命が失われてしまいました。川は水位が常に変化するものですし、たとえその場で雨が降っていなくても上流の降雨で急激に増水するリスクも知っておかなくてはなりません。ただ「四駆専用サイト」とあり、管理者もいる場所であれば安全な場所であると思い誤っても仕方がなかったでしょう。

また2014年の事故の発生場所と地理的には非常に近いのですが、1999年8月、神奈川県山北町の玄倉川の中州でキャンプをしていた18名が、増水によって取り残され、13名もの人名が失われたという事故がありました。この一件ではキャンパー側の「自己責任」が大きく問われ、前者の場合とは状況が大きく異なります。この時、熱帯低気圧の列島接近により、各地で集中豪雨が発生、現場周辺の他のキャンパー達はダム管理職員の退避勧告によって避難をしていました。ところが取り残されたグループの家族は、職員の再三の勧告を拒否、警察官らの退避の求めにも応じず、決壊の恐れから放流を始めた玄倉ダムにより現場は増水し、結果的にお子さんを含めた多くの人が流されてしまいました。テレビ中継が取り残された人や流される人を放映し、当時の強烈な記憶が残っています。


リバーキャンプの楽しみとリスク


まず基本的なこととして、一般的にテントによる野営をして良い場所は「所有者の許可を得た」ところであり、最低限の安全を確保できていると考えられる「管理者のいるキャンプ場」に限ります。キャンプ場に管理人がいたとしても24時間監視がついているとは限りませんし、安全確保は「自己責任」になります。野外なのですから天候の変化には敏感であるべきですし、大雨洪水警報が出ているような時に川の中州でテントを張るなど、自殺行為としか考えられません。特に小さなお子さんもいるような状況ならば、安全確保は万全にすべきです。残念なことに、最近でもキャンプ場でのマナー違反や危険行為は目に余るものがあります。そして周囲も見て見ぬふりをしているケースもあります。

まず屋外での野営にはどのような危険が伴うのか知っておくことが必要です。特に川沿いでテントを貼るときは常に増水のリスクがあることを承知した上で、上流の天候も含めて天気の変化を常に入手していなくてはなりません。傾斜面の近くでは落石などにも注意が必要になります。管理されたテントサイトであれば、大雨洪水情報などが発令されればすぐに撤収の警告があるでしょうが、その時に管理者がいなければ情報提供が遅れる可能性もあります。使用者は避難勧告や避難指示が出る前に自主的にテントを撤収させるべきです。自然の中では自分勝手な「大丈夫だろう」は通用しません。上流にダムがあって万が一決壊でもすれば急激な濁流とともに土石流が流れてくる可能性もあります。「何か起きてから」ではなく「何が起きるかを予測して」素早く行動する必要があります。

また、春先の時期の川の水は、場所によっては雪どけ水を含み、落ちたら心臓麻痺を起すような低温の場合もあります。両親が「ほんのちょっと目を離した」隙に子供たちの川の事故は必ず発生します。「必要ない」と思わずに水辺で遊ばせるとき、ライフジャケットは必ず付けさせてください。また泳ぎが達者な大人であっても、川の中では抗えないような特殊な流れが発生しているときもあります。当然ですが、飲酒後の水浴などは絶対に止めましょう。またバーベキュー後などに食料や生ゴミは少しも残さずパックして持ち帰ること。熊やイノシシなど野生動物の生息域では思わぬ事故につながるかもしれません。また焚火などをした場合の徹底した処理などを含め、自然の中では楽しむだけでなく、その環境をいかに壊さないかを考えて行動することを心がけてください。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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