まずは、八王子線の旅
電車は、ほどほどの混み方で出発。市街地に敷いてある単線の線路上をゴトゴト走り抜ける。交通量が多く、幅の広い幹線道路の踏切を渡り、片面ホームだけの無人駅赤堀に停まった後、川を2つ越えて日永に到着する。
日永は内部線の四日市行き電車が停まるホームの向かい側に西日野行きが到着するようになっている。右にカーブした状態で停車し、内部発の電車から乗り換えるには便利だ。すでに内部発四日市行きはホームに停まっていて、僅かな乗換客が乗車すると、どちらの電車もほぼ同時に発車した。
西日野行き電車は、いよいよ八王子線に乗り入れる。やや田畑が目立つが、相変わらず四日市の住宅街を抜けていく。やや田畑が増えたかと思っているうちに西日野に到着。あっけなく終点だった。四日市駅からでも僅か8分である。無人駅で改札機もないのに、3両編成のドアがすべて開き、とくに運転士が切符をチェックするでもない。欧米によくある「信用乗車」システムを採用しているようだ。
この路線は、もともとは先の伊勢八王子まで延びていたのだが、1974年に起きた集中豪雨のため、天白川が氾濫し、不通となった。結局、西日野より先は復旧されず廃止になり今に至っている。現在でも八王子線を名乗るちょっと不遇な路線だ。
次は、内部線に乗り換えて内部へ
乗ってきた電車で折返し、日永で途中下車。八王子線のホームは、行きと同じホームだ。今度は、内部行きに乗るため、駅構内の踏切を渡って、別にある内部行き専用ホームに行く。ほどなく四日市発の電車が到着。日永での接続は極めて良好だ。
日永から電車はほぼ南を目指す。カーブしながら勾配を上がり、天白川を渡り、南日永に停まって、泊へ。ここで対向電車とすれ違う。右側通行なのは、駅舎とホームが踏切で連絡していて、位置関係から見て、急いで電車に駆け込む際の危険度を少なくするための方策であろう。
追分、小古曽(おごそ)を経て、終点内部(うつべ)着。小さな車両基地が隣接している。駅前広場もなく、幹線道路から奥まったところにひっそりと駅舎がたたずんでいる感じだ。
四日市あすなろう鉄道に乗りにいこう
沿線には、とりたてて観光地もなく、地域住民の足として地道に走っている印象がある。小さい車両だけれど、3両編成にもなるとバスよりも輸送量があり、頼もしい存在だ。一方、特殊な線路幅ゆえに、他社の鉄道車両を譲り受けるわけにはいかず車両製造コストもかさみそうだ。そのあたりが存続のネックになったようでもある。
見た目が可愛らしく、乗っていると楽しくなる四日市あすなろう鉄道。名古屋から近鉄名古屋線の急行でも30分程度の距離なので、何かの折に、ちょっと訪れてみてはどうだろうか。
なお、全線を乗るには、1dayフリーきっぷ(おとな550円、こども280円)が便利である。
四日市あすなろう鉄道の公式サイト