ゲームから映画、マンガへと
大掛かりなメディアミックスを見せる「零」シリーズ
コーエーテクモゲームスが世界に誇る和風ホラーゲーム、「零」シリーズ。2001年にプレイステーション2で第一作目「零~zero~」が登場し、その後も、「零 紅い蝶」、「零 ~刺青ノ聲~」、「零 月蝕の仮面」と続編を重ね、2014年9月には、シリーズ最新作「零 濡鴉ノ巫女」がWii Uで発売されました。また、「濡鴉ノ巫女」発表時には、これまでにない大々的なプロモーション展開も発表されています。それが「劇場版 零~ゼロ~」や、マンガ「零 影巫女」といった、「零」シリーズでは比較的珍しいゲーム以外でのメディア展開。以前にも小説版(電撃文庫から2002年に発売のノベライズ)やアトラクションの「4D零」などはあったものの、ここまで大掛かりなメディアミックスは初めてのことだと思います。
ゲーム原作のタイトルについて、ゲーム以外のメディアを通して考えるというテーマを持つこの連載。今回はマンガ「零 影巫女」にスポットを当てていきます。
ゲームをプレイしたことがない人も楽しめる
マンガ版「零」の魅力とは
「零 影巫女」は現在、マンガ雑誌アプリ「マンガボックス」で配信されており、原作は「金田一少年の事件簿」などで有名な天樹征丸さん、作画を新進気鋭のイラストレーター、Hakus(ハクス)さんが手がけています。「零」には欠かせない霊の存在や、霊を撃退できる唯一の武器「射影機」が登場するなど、ゲームのキモとなる部分を抑えつつ、マンガ版独自のオリジナルストーリーが魅力となっています。零 影巫女
設定には徹底的にこだわる「零」が原作なだけに、「零 影巫女」でもその辺りは抜かりなしといった感じですね。作中で沙羅と大学のクラスメイトが、ゼミのため沙羅の故郷である鴉澤村に行くのですが、この村がとっても不気味。バスの中には女の子の霊が普通に出てきますし、神社の手水からは何やら正体不明の手が見えたり……。加えて、ちょっぴり怪しげなお婆さんや、おかっぱの双子(?)の少女など、和風ホラー成分たっぷり。雰囲気は、金田一耕助シリーズの映画などに通じる部分があるかもしれません。
また、先にも述べたように、本作で作画を手がけているのは、イラストレーターのHakusさん。ゲーム的に言うと、昨今では、日本一ソフトウェアのホラーゲーム「真 流行り神」のキャラクターデザインを担当されていました。Hakusさんの描くキャラクターはとてもミステリアスで、個人的には、零の世界観にとてもマッチしていると思いました。天城さんとhakusさんと紡ぎだす、ゲームとは違う「零」の世界。ゲーム版をプレイしたことのない人でも十分楽しめる内容になっているので、興味があればぜひ一度見て欲しいと思います。