注文住宅/家づくりを始める前に・心構え・トレンド

ゴリラに学ぶ家族と住まいのあり方(2ページ目)

一人暮らしや夫婦のみという世帯が増え、「家族」ということばの持つ意味が社会の中で小さくなってきているようにも感じます。だからこそ家族が本来もっているもの、さらには人間が兼ね備えている感性など、原点を考えてみる必要があるのではないでしょうか?そこでゴリラと人間の違いを比較して、人間のもっているものや家族のあり方や豊かさを考えてみましょう。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド


共感する力をどうやってつくる

住まいの中に共感する力はどうやってつくればよいのでしょうか。

◎時間を味方につける材料の選択
できる限り室内は自然素材や無垢材を使い、時間と共に輝きを増す材料を使うことです。また、記念樹などを庭に植えることで1年ごとの成長を感じさせ、共感力を深めてくれます。

子どもの成長を刻む柱の傷もまた共感力を深めます

子どもの成長を刻む柱の傷もまた共感力を深めます


◎五感を感じさせる工夫
視覚、臭覚、触覚、聴覚、味覚が五感ですが、人間の80%以上は視覚による記憶です。しかしこれは意外と記憶に残らず忘れるものです。触覚や聴覚、臭覚など、眼に見えないものの方が記憶に残ります。木の温かいドアノブ、階段のリズミカルな無垢の音、そして木の香りなどです。

◎団らんをどうつくる
団らんをつくるには食が大切です。キッチンを中心としてダイニング、リビングの家具の配置も含めて生活シーンをイメージして下さい。子どもが小さい時、やや大きくなってきた時、そして大学生とコミュニケーションのあり方は変わっていきます。

◎ひと手間をかける不便さ
間取りも設備機器もすべて効率よく考えるのではなく、ひと手間をかける不便さがあることでその裏側にふれあいや会話が生まれるものです。たとえば冷凍食品をチンして温めてすぐに食べるよりもひと手間をつけ加えることでやさしさが生まれます。間取りにおいても機能的ばかりを追求しないで多少不便利なところをつくることでそこに工夫が生まれ、家族の共有する場が生まれるかもしれません。

ルーバーの裏がキッチンになっている。

ルーバーの裏がキッチンになっている。


オープンキッチンであればすぐに料理を出せます。しかしルーバーがあるため、ぐるりと回らなければならない。そこには必ず夫や妻の協力が必要になるのです。(夫婦2人の家)

◎パブリックスペースを豊かに

プライベートスペースをあまり豊かにせずできればパブリックスペースを広くして家族が集まりやすい雰囲気をつくる。特に子どもが小さいうちは共有する机を設けたり、壁に子どもの作品を貼るなど、想い出をつくってあげる工夫をつくることが大事なのです。

家族共有の連絡ボードを壁に設置

家族共有の連絡ボードを壁に設置


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