球団公式サイトでも開幕=田中は確定ムード
右肘の不安も一掃し、オープン戦でも安定感のある投球を見せた田中投手。開幕投手が濃厚になってきた。
開幕大本命で、昨季まで6年連続(計11度)開幕投手を務めてきたCC・サバシア投手が、昨年7月に右ヒザを手術したことから調整が遅れ、3月22日(同23日)のメッツ戦で2回2/3を被本塁打3の5安打4失点と炎上。オープン戦2試合で4回2/36失点と不安が拭えない。
それに対して田中は、オープン戦2試合で5回2/3無失点と抜群の安定感をみせ、心配された右ヒジの不安も一掃している。
ジラルディ監督は「今、(ローテーションの)ラインアップを進めているが、開幕投手は仕上がり具合による」と発言。“仕上がり”という点においては、田中で疑う余地がない。球団公式サイトも「タナカが開幕戦に先発する準備がされている」との見出しの記事を載せるなど、開幕=田中は確定ムードになっているのだ。
開幕投手は田中投手自身にとっても大きなメリット
開幕投手を田中が務めることによるメリットも大きい。首脳陣は昨シーズン終盤に痛めた右ヒジ(靭帯部分断裂)を配慮することを明言しているが、開幕から先発を5人で回した場合、試合日程の都合上、開幕投手だけが3戦目まで中5日で登板できる。4月はまだ寒い日も多いため、このローテーションは田中にとって明らかにプラスであり、スムーズにシーズンへ入れることにもなる。開幕投手は、メジャーリーグでも日本のプロ野球でも名誉であり栄誉であることは間違いない。「うちはこのピッチャーを中心に今年は戦う」という宣言でもあるからだが、メジャーと日本の違いがひとつある。それは、メジャーでの開幕はシーズンの開幕と本拠地開幕の2つあると考えていることだ。どちらかといえば、本拠地開幕の方に重きを置き、栄誉(球場も毎年満員)と言われている。
ヤンキースは今年、4月6日(同7日)の開幕ブルージェイズ戦は、本拠地ヤンキースタジアム。シーズンのスタートと本拠地ゲームのスタートが同じであるため、田中が受ける栄誉は格別なものになるのである。
田中がメジャー開幕投手の栄誉を射止めれば、野茂、松坂(現ソフトバンク)、黒田(現広島)に次いで4人目。「もしも開幕戦でピッチャーを務めるということになれば、ものすごく大きなこと。でも、個人的には去年、ケガをしてしまった。僕の1番のゴールは、1年間ケガをせずに投げ続けることです」と田中は言う。
ダルビッシュがトミー・ジョン手術を受けて、今季絶望となった今、田中は嫌が上でも注目を集め、岩隈(マリナーズ)とともにサイ・ヤング賞の有力候補にも挙げられる。ぜひともスムーズなスタートを切ってもらいたい。