年収200万円時代に考えるお金サバイバル術/東大・柳川範之教授の40歳定年制とは?インタビュー

40歳定年の考え方、今から仲間とやるべき行動とは?

働く環境が大きく変化しつつある今、ひとつの組織だけでしか通用しないスキルは、もはや危うさしかありません。組織に頼らず生きていく力をつけるためにはどうすればいいのか――。そのひとつの方法がサブの仕事を持つことであり、「仲間と作るバーチャルカンパニー」だと東京大学の柳川教授は言います。その意図と方法を伺いました。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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ひとつの組織だけの視点、「洗脳」を解くべき理由

今から行動を始めてみませんか?

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働く環境が大きく変わりつつある今、ふと気づけば、自分のスキルが“錆びついた刀”になっているケースも――。予測の難しい時代といわれる今、私たちはどんな風に働き、どのようにスキルを伸ばしていけばいいのか…。“生き残る人”になるための方法を、「40歳定年制」を提言している東京大学大学院の柳川範之教授が指南します。(第4回目インタビュー『40歳定年、キャリアを棚卸ししてスキルを武器に!』から続きます)

――ご著書である「40歳からの会社に頼らない働き方 」のなかで、組織に頼らず生きる力をつけるためには、“社内基準の洗脳を解くことが必要”だと提言していらっしゃいました。具体的には、どんな風にすればよいのでしょうか? 

柳川教授 
ずっとひとつの組織にいると、その視点がすべての基準になってしまい、思考が硬直してしまう。ですから、社外の人、異業種の人と触れ合うことが大切だと思います。それにより、世間ではどんな能力を欲しているのかが分かったり、実は自分の能力はこんな業種で活かせるかもしれないなど、新しい気づきが得られます。いろんなジャンルの人たちに会うことで、新しい視点と刺激を注入していくことが非常に大事です。

――なかなか時間が捻出できないという人に、良い方法はあるでしょうか?

柳川教授
 時間の取れない人は、ネット上やSNSなどでコミュニケーションをとるという手段もあります。人と会うにしても、何かを学ぶにしても、大部分の人は、まとまった時間を取ることが難しいのが現状だと思います。そういった場合は、1日5分だけでもいいから、キャリアの見直しをしたり、何かにトライするという習慣を作って、未来の自分のために時間を振り向けてみる。そういった積み重ねが、その先の自分を変えていくと思うんです。

――もうひとつ、組織に頼らない力をつける方法として、“サブの仕事を持つ”ことを提案していらっしゃいます。その理由を教えてください。 

柳川教授 変化の激しい時代には、多様な働き方をする必要があります。いろんなことにチャレンジして刺激を得ていくことが、自分のスキルを伸ばしていく。働き方をひとつに絞ることは、これからの時代、古い働き方になると考えています。もちろん、リスクヘッジという意味でも大切だと思います。サブの仕事は、必ずしも副業というほどのものでなくていいと思います。アイデアを出しあったり、意見交換をしたりと、会社組織までいかないグループ作りが必要だと思います。私はそれを「バーチャルカンパニー」と呼んでいます。そして、バーチャルカンパニーを作るときには、仲間と一緒に進めることをオススメします。

――ひとりで進めるのではなく、あえて仲間を集う理由はなぜでしょうか?

柳川教授 切羽詰まった状況でない限り、新しいことを1人でやるということは、意外にハードルが高いものです。ひとりで進めていると、どうしても怠けてしまうし、ラクな方に流れてしまうのが人間というものです。物事を進めるときは、目標を持って何かをすることが大切ですが、仲間がいることでそれを共有でき、モチベーションが上がる。刺激もあるし、違う視点や気づきもたくさん得られます。本業ではないサブの仕事をするには、1人よりも誰か仲間を集ってやるほうが効率的です。

ちなみに、今のベンチャーの主流は一人ではなく、誰かと一緒に起業するケースが非常に多いんですね。最近、卒業生のなかでも大手企業を辞めて「仲間と会社をやるんです」と報告してくるケースが増えています。いろんな勉強会をしたり、気の合う仲間に声をかけてチーム化してから本格的に始動するケースが多いようですね。

――バーチャルカンパニーを作るときには、どういったメンバー構成が理想的ですか? やはり、力を補完しあえるメンバーがいいのでしょうか。

柳川教授
 最終的に会社を作って大きく成長してきたいと考えるのであればスキルを補完しあえるメンバーが良いと思いますが、自分のスキルを強化したい、新しい力をつけたいということであれば、そこまで難しく考えることはないと思います。多くの人は実際に起業するというよりも、本業をやりつつ、サブの仕事をやるというのが現実的だと思います。たとえ仕事と呼べるようなものじゃなくても、社会貢献やボランティアなどを含めて、いくばくかの副収入が得られたり、自分の生活を充実させるという方法もあります。

今は、いろんな組織の在り方が増えていますから、そういう意味では、選択肢が広がっているのではないでしょうか。自分の幅を広げるためにも、サブの仕事を持つことは大きな意味があると思います。

――新しい働き方を見据えて少しずつベクトルを変えていくことが大切ですね。ありがとうございました。

★柳川教授のインタビューは今回で終了します、過去記事を読みたい方はコチラへ!
第1回 40歳定年制とは?あなたの仕事がなくなる2つの理由
第2回 40歳で弾き出される人にならないためにやるべき習慣
第3回 「40歳定年制」は、私たちの働き方をどう変える?

教えてくれたのは……
柳川 範之(やながわ のりゆき)さん

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1963年生まれ。東京大学経済学部・東京大学大学院経済学研究科教授。研究分野は金融。父親の仕事のためシンガポールの小学校を卒業し、高校時代はブラジルで過ごす。大検を合格後、慶應義塾大学経済学部通信教育課程卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了というユニークな経歴の持ち主。「40歳定年制」の発案者として『40歳からの会社に頼らない働き方 』(ちくま新書)が話題に。近著『東大教授が教える独学勉強法』などで、勉強することの楽しさを伝えている

取材・文/西尾英子
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