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東日本大震災から4年 仮設住宅の撤去が未だ僅かな現実(2ページ目)

東日本大震災から4年になります。被災地はずいぶんと復興したと思われがちですが、決してそのようなことではないようです。この記事で、中でも住まいの復興の状況について、私が取材したことも含めまとめてみました。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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取材したのはまず、仙台市内に建設中の災害公営住宅は鉄筋コンクリート(RC)造の建物でした。良く街中でみられる中規模のマンションをイメージされるといいでしょう。間取りは2LDKや3LDKが中心のよう。2015年4月の入居に向け、工事が着々と進行しているといった雰囲気でした。

住まいの復興に地域間格差が発生

仙台市では、今年で災害公営住宅の建設はほぼ完了するそう。というのも、仙台市は財政的にも余裕がありますし、何より建設地となる平地が数多くあります。ですので、建設は比較的スムーズに進んできたようです。

平屋建ての災害公営住宅

福島県新地町に建設された平屋建てによる災害公営住宅の様子。将来的には入居者への「売却」も見込んでいるという(クリックすると拡大します)

このように、財政状況や地理的な条件に恵まれている地域は、比較的早く災害公営住宅などといった被災された皆さんの受け皿となる住まいが確保しやすいのですが、逆にいうとそうではない地域では整備に遅れがでているというのが、現在の問題点の一つです。

要するに、住まいの復興に地域間格差が発生しているということ。このことが今回の取材で最も痛切に感じられたことでした。

さて、取材したもう一ヵ所は福島県新地町にある災害公営住宅。こちらは平屋建て(戸建て)の全11棟で、2DK、2LDK、3LDK、4LDKからなり、全て異なる外観と間取りとなっていました。

町の職員の方のお話によると、平屋建てとしたのは「将来、入居する(した)方々に災害公営住宅を購入しいただきたい」からとのことでした。この言葉には、災害公営住宅が抱える問題点が隠されています。

というのも、災害公営住宅は、前述した仙台市の事例のようなRC造、あるいは木造の集合住宅であり、居住スタイルは「賃貸」となるのが一般的です。しかし、これでは自治体に維持や管理をするための責任、そしてそのための経費が災害公営住宅が存続する限り発生します。

自治体の運営において、災害公営住宅の存在は人的・財政的な圧迫材料となる可能性が高いのです。ご存じのように地方自治体の財政は厳しく、被災した自治体にとっては非常に重いものになります。

災害公営住宅をはじめとした住まいの復興のスピードに時間がかかっているのは、決して行政関係者の対応が遅いというわけでなく、自治体の将来像やあり方を考慮すると、致し方がない部分があるのです。

また、ただでさえ震災発生以降、復興に伴う公共工事が増大し、その影響から職人さんの賃金や材料費なども高騰気味。その中で災害公営住宅などを建設するのは非常に厳しい環境にあるのです。

今年度は政府の集中復興期間の最終年度だが…

例えば、前述した仙台市の災害公営住宅の建築現場でも、東京から応援に来た建設会社の人たちが、ずっと現場に張り付いて作業にあたっているという状況でした。一方、福島県の新地町の町役場では、未だに他の自治体から応援に来た職員の方々が業務に従事されている姿が見られました。

看板

新地町町役場で見られた「災害対策本部」の看板。現地ではまだ、東日本大震災からの復興が現在進行形であることを印象付けていた(クリックすると拡大します)

官民一体となって復興にあたる状況は、震災直後も今も、程度の違いはあれ変わらないということ。震災復興は未だ現在進行形で続いていることが強く確認されました。

「3月までに8割以上の方が移転される予定ですが、仮設住宅から全ての方々が新居に移られるまで心落ち着きません」。前述した新地町の職員の方が、そうおっしゃっていたのが大変印象的でした。

ところで、2015年度は政府が定める集中復興期間の最終年。ただ、未だに福島県の原発避難者向けの街づくりという大きな課題が残っています。残念ながら、これにはまだ相当な時間がかかるでしょう。

というのも、他地域に避難されている方のうち、「元々住んでいた町に戻り居たい」という方は年月の推移とともに次第に減少しているから。これはさらに復興が長引けばさらに減少するだろうと推測されるためです。

震災発生から4年の時間が経過していますが、まだ被災された方々の住環境の改善を含め、復興は道半ば。問題は山積しているということです。そのことを皆さんに改めてお伝えしたくて、今回の記事をまとめた次第です。
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