敏捷性と低いタックル
日本人ならではの強みに注目
ラグビーにおいて日本人選手の一番の強みとなるのは、アジリティ(敏捷性)や走り出す瞬間の初速、細かいステップ、そして姿勢の低さです。これらは今季スーパーラグビーでプレーする各選手に共通する持ち味であり、世界最高峰のリーグにおいても、大きなアドバンテージとなるでしょう。特に山田章仁選手はそうした部分で非常に期待を抱かせてくれる存在です。彼は181センチ、90キロという体格ながらアジリティが高く、細かいステップを踏んだり、ターンして相手をかわしたりできます。あのようなプレーは外国人選手も相当驚くでしょう。キレ味という点では松島幸太朗選手も素晴らしいものを持っています。そして、ここが大切なのですが、日本だけで見れば、山田選手や松島選手のほかにも彼らに近い能力を備えた選手は意外に多くいます。外国にはない日本人ならではの強みですし、そこは必ずスーパーラグビーでも生かせると思います。
もうひとつ、低いタックルも大きな武器になります。いまは世界的に低いタックルを評価する傾向が強まっていますが、日本の本物の低いタックルは、海外で言う低いタックルよりもさらに低くて威力が大きい。これは絶対的なメリットであり、外国選手にはないオプションを、日本人選手は持っているということなのです。
抜群の闘争心とスピード感
田中史朗は世界を楽しませる存在
最後に、今季スーパーラグビーでプレーする日本人選手たちの特長や魅力を、それぞれ紹介しましょう。スーパーラグビーへの道を切り開いたスクラムハーフの田中史朗選手(ハイランダーズ)は、スキル云々以前に、飛び抜けたファイティングスピリットを持っています。こうした部分は、日本では「気合」や「根性」といった言葉でくくられがちですが、実はスキルと同じくらい非常に大切な要素です。彼は166センチ、75キロという日本人としても小さな体ですが、どれほど大きい相手にもひるまず立ち向かっていきますし、相手のスクラムハーフに対する意識もすごく高い。本物の「勝負をできる選手」であると言えるでしょう。
また、ディフェンス時の鋭い出足と球さばきのスピードも、田中選手の傑出した持ち味です。同じチームでポジションを争うのは現ニュージーランド代表のレギュラーであるアーロン・スミスですが、彼と比べてもさばきのスピード感は勝るとも劣りません。「こんなラグビーがあるのか」と世界を驚かせ、楽しませてくれる稀有な存在だと思いますし、その点において日本のベストプレーヤーだと思います。