Jリーグ勢が苦戦する二つの理由
なぜ、Jリーグ勢は勝てないのか。外国人選手のクオリティの違いに、苦しめられているのは確かだ。だが、根本的な理由は「対応力」にある。
2月24、25日に行われたグループステージ後に、試合勘の欠如が指摘された。ACLはJリーグ開幕に先だってスタートするので、身体もメンタルもまだ仕上がっていない、ということである。
しかし、スケジュールはあらかじめ決まっているものだ。シーズン最初の公式戦という難しさは認めるが、国内リーグが開幕していないのは韓国も中国も同じだ。
国内リーグに臨む各チームは、対戦相手の特徴を事細かに分析し、ゲームの戦略を立てる。ところが、国外のチームと対戦するACLでは、リーグ戦のような分析はかなわない。ましてやグループステージの初戦であれば、手探りなところがある。
そこで重要なのが対応力だ。
情報の少ないなかでも相手の特徴をつかみ、臨機応変に対応する。柔軟性という意味で、Jリーグのクラブは韓国、中国、オーストラリアなどに劣っていると思うのだ。
日本サッカーの弱点として、合わせて指摘したいのは「陶酔感」である。
日本のサッカースタイルはパスサッカーだ。ACLに出場する4チームも、個人の技術を下敷きとしたパスワークを生かして攻撃を組み立てる。
ところが、ACLで対戦する韓国、中国、オーストラリアのチームは、シンプルなタテパスも躊躇なく使ってくる。技術ではなく身体の強さ、高さ、速さなどを押し出したサッカーだ。カウンターを仕掛けることへの抵抗感がないのである。その結果として、Jリーグであまりなじみのないスタイルに対応しきれずに、失点を喫することが少なくない。
どちらのサッカーが見栄えがいいかと言えば、日本のパスサッカーだろう。ただ、カウンターやセットプレーも重要な得点パターンであり、それらを否定するかのような風潮は内向きと言わざるを得ない。敗戦という現実を直視していないことと同じだ。
サッカーは華麗さを競い合うスポーツではない。相手より1点でも多くゴールするチームが勝者となる。自分たちのスタイルに自己陶酔するのではなく、どこまでも貪欲に勝利を目ざさなければ、ACLでも失望を味わうことになる。