洗面台が突然崩壊し、損額賠償請求されました
海外で幾度となくトラブルにあってきたガイドの、体験談と対処方法をご紹介
ベルギー・ブリュッセルでのことです。全治1ヵ月と診断され、ギブスに松葉杖姿になりました(ケガをしたマヌケな詳細を知りたい方は「救急車って有料?もしも海外で、ケガをしたら」へ)。そのため予定していた1ヵ月の旅行が台無しに。行き場をなくしたガイドは、本来旅行後にフランス・リヨンで1週間のホームステイ体験をする予定でしたが、その予定を早めてフランス人家族との生活がはじまりました。もちろん松葉杖なので、生活する上で大変なことも多く、その代表がトイレやお風呂。狭いユニットバスの中では松葉杖も使えないので、壁や洗面台に体重を預ける必要があります。洗面台に体重を乗せたときです。洗面台が根元から剥がれ落ちてきたのです。そんなに太ってはいなかったのですが、フランス人家族から、損害賠償請求をされるはめに。ホームステイをはじめてわずか2日目でした。ケガして失意の中、洗面台を壊して損害賠償請求までされたのですから、言葉が見つかりませんでした。
損害賠償請求をされたガイドの経験をもとに、気になる対処方法や保険のことをご紹介します。
旅行前にチェックを。海外旅行保険の補償内容を確認しましょう。
当たり前ですが、海外旅行に出かける際は必ず、海外旅行保険に加入しましょう。ガイドは年に何度も海外に出かけるので、その度に海外旅行保険に入るのは手間も費用もかかります。そのためクレジットカードの付帯保険を利用しています。ただし、「賠償責任」における担保がないものもあるので、事前にご自身のクレジットカードに付いている保険を確認しましょう。またお持ちのクレジットカードに「賠償責任」の補償がなくても、料金を払うことで補償を追加できる場合もあります。弁償しろ!と言われても、口約束しない。サインしない。お金を払わない。
誤って物を壊したり他人をケガさせてしまって損害賠償請求をされた場合、海外での対応はさらに慎重におこなうよう心がけましょう。特にみだりに口約束したり、求められるがままサインをしたり、いくら安い金額でも言われるがままお金を払うなど、安易なやり取りはやめましょう。文化や風習・習慣が違うだけでなく、母国語ではない言語で賠償の話を進めるのは誤解を招き、さらに問題が大きくなることもありますから。心細い時には、まず相談。「サポートデスク」に連絡しましょう。
まずは、近くのサポートデスクに連絡し、状況説明をします。サポートデスクでは、アドバイスだけでなく通訳や弁護士を紹介してくれる場合もありますので、ご自身で勝手に判断せず、直接担当者と話してから動くのがよいでしょう。ガイドが損害賠償請求をされた際は、修理に出す前に保険会社に状況説明をし、今回のケースは保険が下りることを確認してから修理をしてもらいました。保険でカバーされると分かり、ひと安心したことを覚えていますので、とにかくまずは相談してみるのがベストです。忘れたら、大変です。必要な書類を、現地でもらいましょう。
帰国後、保険会社に保険金の支払いを請求しますので、請求に必要な書類は現地でもらって帰ってきましょう。もらい忘れた場合、保険金請求ができない場合がありますので注意です。また下記に明記した請求に必要な書類は一例です。保険会社・事故内容によって異なりますので、サポートデスクで問い合わせた際、あわせて確認しましょう。<請求に必要な書類(一例)>
・パスポート(コピー)
・保険金請求書
・医師の診断書(対人の場合)※
・治療費の明細書および領収書(対人の場合)※
・事故証明書※
・示談書、示談金領収書※
・損害額(修理費等)を証明する書類(対物の場合)※ など
※…現地でしか手配できない書類
いかがでしたか。「日本でも賠償請求とかされたことないから大丈夫」と思っていませんか。ガイドは、日本で事故にあったことも、救急車にのったことも、ましてや賠償請求されたこともありませんでした。何が起こるか分からないのが海外です。ご自身の保険を今一度確かめるなど、事前準備を怠らず、楽しい旅にしてくださいね。