のと鉄道の旅、その2(能登中島~穴水)
やがて列車は山間部に差しかかる。山の間から七尾湾を見下ろすようにして走る。付近は全国有数の生かきの産地で、湾には養殖用の筏も見える。西岸駅には、ゆのさぎ(湯乃鷺)という別の駅名標も立っている。前述したアニメ「花咲くいろは」に登場する湯乃鷺駅のモデルが西岸駅だからだそうだ。それにちなんだコントのような愉快な車内アナウンスも流れていた。
列車は再び海岸線に沿って走る。道路と並走しているけれど、線路がかなり高いところに位置しているため、海がよく見え、それほど邪魔にはならない。やや振り返り気味に海を眺めると、能登島と半島に架かる優美な「ツインブリッジのと」の姿も見える。
能登鹿島は「能登さくら駅」の愛称通り春になるとホームが桜のトンネルで覆われる。全国的に有名で、昼間はもちろんのこと宵闇に浮かぶ桜も美しく、一度は訪れてみたい。
さらに列車は海岸沿いに走る。海の中に立つ奇妙な木を組んで作った物体は「ボラ待ちやぐら」と呼ばれるもので、日本最古の漁法と言われるぼら待ち漁のために使われたものだ。
終点穴水が近づくと列車は、乙ヶ崎トンネルにさしかかる。運転士(ワンマン列車なので車掌はいない)が、「車内灯を消しますのでトンネル内のイルミネーションをお楽しみください」と案内する。まもなくトンネルへ。クリスマスのようなイルミネーションで楽しいけれど、乗客がほとんどいないのが残念だった。毎年冬に行う恒例のイベントである。車内が空いていれば、運転台脇や最後尾で眺めるのが楽しい。
七尾から40分程で穴水に到着。かつては、輪島方面と蛸島方面への路線の分岐点だったので、ホームも2面あり、線路が4本、さらに車両基地もある大きな構内だ。しかし、改札口に直結した1番線以外は普段は使われていないようで、どこか寂しげだ。1番線ホームのはずれにある0番線には使われなくなった窓の大きなパノラマカーが展示されていた。もう一度走ることはないのだろうか?
最後に、のと鉄道の新しい観光列車を紹介します