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飼ってはいけない動物・その1

「ワシントン条約」という言葉をご存じでしょうか?ペットとして飼えない動物・飼ってはいけない動物があります。

似内 惠子

執筆者:似内 惠子

動物病院ガイド

先日All Aboutを通じて、「テレビ番組の放送内容チェック」というお仕事をいただきました。放映される内容に誤りがないかをチェックするお仕事です。番組自体はよく構成されていると思いましたが、微妙なところで誤解を招く表現があるので、それもすべてご指摘されていただきました。テレビはいろいろな人が見るもので、情報を受け取る人の都合で解釈が異なってきます。

たとえば、
「マレーグマは東南アジアでペットとして飼育されています」
とあると、
「じゃあ、うちでも飼えるんだ」
と思う人が10万人に一人くらいいるかもしれないのです。

制作者側は「日本と海外は事情が違うので、そのあたりは大丈夫だろう」と思って番組作りをしているのでしょうが、「日本で飼ってよいもの」と「日本で飼ってはいけないもの」の違いははっきりとさせておかなればなりません。


知ってますか?ワシントン条約

まず知っていただきたいのは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」というものが存在することです。

「ワシントン条約」という言葉を聞いたことがおありの方なら「あのことだな」と思われるでしょう。この条約の目的は、「野生動植物が国際取引によって過度に利用されるのを防ぐため、国際協力によって種を保護する」ことです。海外から輸入してはいけないということのほかに、国内での売買も禁止されています。

詳細は
http://www.trafficj.org/aboutcites/ 
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/washington/washington.htm 
などをご覧ください。

マレーグマもこのワシントン条約で、保護の対象とされています。ひょうきんな姿と愛らしい顔つき、ちょっと飼ってみたくなる気持ちもわかりますが、動物園で見るのにとどめておいてください。


生活を変えないと飼えないペットもいる

ワシントン条約にかからなくても、飼うのが大変な動物というものがあります。忙しい人には飼えないもの(両生類など管理が大変なもの)、そのペットのために生活を一変しなければならない動物というのもあるのです。

犬や猫だって十分手間がかかります。長期の旅行の際にはペットホテルを探さなければなりません。著書やブログで何度も強調していることは、まずご自分のライフスタイルがあって、それからペットがあるということです。たまに逆転している方もありますが、やはりヒトの生活があってこそのペットです。

ここだけの話、経験のある獣医師は、動転した飼い主のその場限りの発言をあまり信用していません。

「いくらかかってもいいです!治療してください!」
「治るまでとことんやります!」
「治療費はこの際、問題じゃありません!」

と叫ぶ飼い主さんがいらっしゃっても、それがいつまでも続かないことがあるのを皆さん経験ずみなのです。逆にそうやって叫ぶ人ほどいつの間にか診療に連れて来なくなったりします。拙著「こんな動物のお医者さんにかかりたい」で、しつこいほど強調しているのは、「費用について軽々しく考えないでください」ということです。

逆にどんな飼い主さんが最後まで治療を続けるかということになりますと、これはあくまで私見なのですが、共通して言えることをお伝えしましょう。一見地味そうな方、多くを語らない方、それでも予約の時間やワクチン接種の日程をきちんと守れる方です。


特殊ペットは犬や猫のような反応をしない

ツメガエル

ツメガエル

ということで、特殊なペットの場合もぜひ、ご自分の生活の身丈に合ったものを飼っていただくことをおすすめします。

外見だけで「どうしてもハリネズミが飼いたい!」と思う方もあります。しかし、温度管理は結構大変です。また、犬や猫のようにうまくなつかない、ということも飼ってから気づくことです。何かと難しいですね。

 

リクガメ

リクガメ

そうなのです。特殊なペットの場合、「気持ちの交換がしにくい」や「こちらの愛情に応えてくれない」が手放す動機になっているのことが多いのです。

それは、犬や猫の反応が頭に刷り込まれているので、同じような行動を取ってもらえると信じ込んでいる人が多いせいです。

犬や猫は何万年も人に飼われてきた、いわばペットの「プロ」。今日昨日飼われ始めた爬虫類や両生類がかなうはずがありません。そういう意味で、自己愛の強い方はあまり反応が目に見えない、地味なペットは飼わない方がよいのではないかと思います。

生活リズムとともに自分を知ることも、ペットとの付き合いが長く続く秘訣かもしれません。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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