「ハングパーラメント」になったイギリス

ヨーロッパでは火山の噴火や財政危機など、最近災難が続いている

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5月6日に行われたイギリスの総選挙(下院選挙)では、総議席数650に対して保守党306、労働党258、自由民主党57という結果に終わりました。残りの29議席は、他の小政党(注:ただし1議席だけ候補者死亡のため投票延期になった選挙区がある)。

イギリスの下院では、これまでは労働党が過半数を占めていて、前首相ブラウン氏も労働党の党首から任命されたので、1997年以来13年ぶりに保守党が政権を奪回した選挙となりました。もともとイギリスはアメリカのような二大政党制で、労働党と保守党が交代で政権の座につき、首相も出すという体制が何十年も続いていた国です。

今回は保守党が第一党になって勝利したわけですが、問題は過半数に到達している党がないことです。イギリスの政治ではこれを「ハングパーラメント」と呼び、直訳すると「宙ぶらりんの議会」という意味になります。

日本では第一党が過半数に到達していなくても問題なく連立政権を組むのが普通ですが、どうもイギリスではそう単純にはいかないようです。

連立に慣れていないイギリス

イギリスで日本のように「連立政権で行きましょう!」と単純に行かない理由は、イギリスの政治が連立に慣れていないためです。イギリスは保守党・労働党の二大政党制が長年続いていて、ほとんどの期間はどちらかの党が過半数を取って、単独政権になっていました。

そのため、イギリスの政党は連立政権を組むことを、ほとんど想定していません。今回保守党が連立を組むとしたら、まず候補になるのは当然第三党である自由民主党です。確かに、保守党と自由民主党が連立を組めば数の上では過半数は超えるので、政権を担うことは可能です。しかし、問題はこの両党には政策面で非常に大きな隔たりがある点です。

例えば、現在のイギリスの下院は小選挙区制を採用していますが、自由民主党は比例代表制の導入を検討しています。しかし、保守党はそれに反対しています。税制についても、自由民主党は富裕層への増税を主張しているのに対して、保守党は相続税の減税など、富裕層を優遇する政策を掲げています。

このように政策面で隔たりがあるので、保守党と自由民主党の連立は決して易しくはないのですが、保守党にとって他に連立できる政党はありません。これらの3党以外は、すべて議席が一桁しかない小政党ばかりです。