ハーレーは人々の生活になくてはならない存在
2階のエントランスには、ご覧のとおり創業から約50年ほどに生み出された名車たちがずらりと並びます。ハーレーダビッドソンの歴史や過去のモデルに詳しい方なら、身悶えするほどの光景です。それも、やはり100年以上の歴史があってこそ。
ちなみにこのストリートに展示されているのは、創業からおおよそ50年のあいだに生み出されたモデル群。そう、ミュージアム探訪はまだ始まったばかりなのです。
こちらは、この100年間でハーレーが開発してきたさまざまな歴代エンジンがかけられた壁。フラットヘッド、ナックルヘッド、パンヘッド、ショベルヘッド……といった有名なエンジンはもちろん、戦時中にBMWバイクの水平対向エンジンを模したものやレーサー用エンジンなど、その種類は無数。これらひとつひとつが、ハーレーダビッドソンの歴史を支えてきたのです。
一般向けだけではなく、軍用から商業用まで、さまざまなオートバイを手がけてきたハーレーダビッドソン。今でこそ大型バイクは趣味の乗り物としてのみ存在しますが、当時オートバイは人々の生活になくてはならないもの。ハーレーダビッドソンは、庶民のために生まれたメーカーだったのです。
こちらはハーレー歴代モデルの有名なフューエルタンク。カスタムカルチャーをその土台とするメーカーゆえ、フューエルタンクのデザインについては他メーカーを圧倒するほどのこだわりを見せてきました。その系譜は今にも受け継がれているのですが、こうした光景を目の当たりにすると、改めてハーレーダビッドソンのグラフィックに興味がひかれるのです。
Vツインエンジンへの進化、レース活動……
今ではイメージが結びつかないかと思いますが、1980年代にかけて、ハーレーダビッドソンというメーカーは積極的にレース活動を展開していたメーカーだったのです。どうしてもお金がかかる活動ではあるのですが、レースのために最先端の技術を駆使した一台を投入し、そこで得たノウハウを一般車両にフィードバックする……。現在、MotoGPなどに参戦している他メーカーが行なっている取り組みを、ハーレーは半世紀以上も前からやっていました。
こちらの“ナンバーワン”エンブレム、ご覧になられた方もいらっしゃるかと思います。ハーレーとは意識しておらずとも、「どこかで見た覚えがある」という感じで。これ、1980年代におけるハーレーのレースシーンでの栄光の証なのです。圧倒的な強さを誇ったハーレーダビッドソンが、まさしくナンバーワンを高らかに叫んだ象徴的エンブレム。いかにもアメリカらしいきらびやかなグラフィックの裏側には、そんな歴史が秘められているのです。
ウルトラをはじめとする大柄なクルーザーモデルが今のハーレーダビッドソンに対するイメージかと思いますが、1970~1980年代のレースシーンにおけるハーレーの活躍ぶりは凄まじく、そのイメージは“速い”“強い”でした。こうしたかつての名車をインスパイアしたカスタムバイクを手がけるビルダーは少なくありません。そう、彼らのイメージソースはこうした“古き良き時代”にあるのです。
次ページでは、かつてのスクリーンを彩ったハーレー、そして日本人が忘れてはならない“絆”を体現した一台のハーレーをご覧いただきます。