1ヵ月遅れで追加緩和の影響到来
日本銀行による追加緩和の影響がじわじわと市場金利へ波及していることから、本来であれば資金需要が高まる年末年始を控えても長期金利は低下しています。2014年12月に入り、長期金利は異次元緩和導入以来の0.3%台へ低下しているのです。一時的にリスク回避動きが出たことによるものですが、米国の大手格付会社が日本国債のレーティングを格下げしたことが遠い過去の出来事と思われるくらい、国債が買われているのです。0.3%台は一時的なのかは定かではありませんが、この調子では2014年4月4日付けた史上最低金利である0.315%も視野に入りつつあると言えそうです。
住宅ローンを新規に借りる人、借り換えを考えている人には、フォローの風がさらに強まったと言える反面、預金金利、個人向け国債や個人向け社債の金利には強風の向かい風となっています。年明け2015年1月の新窓販国債の10年国債においては、ついに史上最低の利率0.50%を下回る0.40%になる可能性が高まってきたと言えるでしょう。
5年固定の個人向け国債は最低金利に
個人向け国債、新窓販国債の2014年12月の募集条件から見ていくことにしましょう。個人向け国債の募集条件は、3年固定=0.05%、5年固定=0.05%、10年変動=0.31%となっています。5年固定は最低金利まで低下しましたが、10年変動は11月募集の利率0.29%よりも若干上昇しています。募集条件が決まる際、10年よりも5年の金利低下が著しかったことが影響しているようです。3年固定、5年固定は、最低金利である0.05%まで募集金利が低下しましたが、10年変動が今後最低金利まで低下することがあるのかと問われれば、確率的にはかなり低いと思われてなりません。10年変動は基準金利に0.66をかけて募集金利は決められますが、基準金利=長期金利と言い換えてもよい金利ですが、長期金利が0.09%以下に低下しなければ最低金利の0.05%にならないからです。
一方、12月の新窓販国債の募集条件は、2年物は11月に引き続き募集がありません。5年物は12月17日に条件が決定されまずが、利率は11月の0.20%から0.10%へ引き下げられると思われます。10年物の利率は0.50%で過去最低金利と並んでいる状態です。
10年物の12月募集金利は0.50%に踏み止どまったものの、仮に2015年以降に0.40%に利率が低下すれば、地方銀行のインターネット支店の好金利1年物と並ぶことになります。いずれも固定金利商品ですが、かたや1年、かたや10年という預入期間を考えれば、もはや新窓販国債で運用する必要性はほとんどないという状況なのです。
個人向け社債も利率は低下傾向に
冬のボーナスを期待しているのか、2014年12月に入ってからも個人向け社債の起債は順調に行われているようです。一部、11月から募集されていますが、北陸電力4年債=0.33%、オリックス 5年債=0.272%、四国電力3年債=0.20%、北海道電力3年債=0.30%、丸紅5年債=0.227%などとなっています。北陸電力、四国電力、北海道電力は額面10万円から購入できますが、残りは額面100万円からの購入になります。
国債よりも信用リスクを取っているのだから好金利を!と期待したいところですが、先に述べたように地方銀行のインターネット支店の好金利1年定期預金の金利0.40%を下回っている状態です。しかも個人向け国債などよりも最低投資金額は大きいのですから、利便性という側面に立てば投資にする必要性はほとんどないと言えるでしょう。
ただし、2014年を振り返ればソフトバンク債などのように、利率が1.0%を超えるお宝個人向け社債が発行されるケースがあります。情報のアンテナを張って、辛抱強く好条件の個人向け社債の発行を待つというスタンスが2015年も続きそうです。