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日本の景気に悪影響?原油価格とドル相場の関係

今、原油価格の動向に世界の注目が集まっています。2008年に、1バレル150ドル近くまで上昇したWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエートの略。世界で最も注目される原油価格の指標のこと)原油価格は、2014年12月に一時60ドル台前半まで下落しました。今回は、原油相場と為替相場の密接な関係について考えてみましょう。

内田 まさみ

執筆者:内田 まさみ

FXガイド

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原油取引には、基軸通貨ドルが必要

世界で行われている原油取引の大半は、ドルで決済されています。ここ数年で、ロシアや中国が取引の一部を自国通貨での決済に切り換えたり、中東産油国も複数の通貨で構成するバスケット建ての取引を進めていますが、今なお原油価格はドル建て表示。世界で最も信頼できる通貨が「ドル」だからです。原油を必要とする多くの国や企業は、購入代金を基軸通貨のドルで支払っています。

ドル高進行が原油下落の要因?

本来なら、原油価格の下落は、原油輸入国にとってはプラスに働きます。安い価格で原材料を仕入れことができるからです。ただ、同時に急激なドル高が進んだ場合、決済に使うドルを調達する「コスト」が増加します。

例えば、100ドルの洋服を購入する時、ドル円相場が1ドル80円であれば、8000円で買うことができますが、1ドル120円まで円安ドル高が進むと、洋服の価格は1万2000円に上昇。為替相場の変動で価格は跳ね上がり、実際は割高になってしまうのです。

したがって、急激なドル高がコスト増加となり、国の財政や企業の業績を圧迫。これでは、原油安の恩恵を享受するどころではありません。ドル高が、原油の輸入価格をさらに押し下げてくれる米国とは対照的ですよね。

しかも、コストの増加分が商品価格に転嫁されれば、消費者の財布のひもは固くなり、景気に悪影響を与えるでしょう。景気悪化が原油需要を減退させ、さらに原油価格が下落することも考えておかなくてはなりません。

過度な円安ドル高が日本景気浮上の足かせに

今回の原油価格の下落は、様々な要因が複雑に絡みあって起こったと見られています。2015年に米連邦準備理事会(FRB)が利上げを開始するとの見方が強まったこともそのひとつ。世界的な金融相場の中で、金融商品化した原油に流れ込んでいた多額の投資マネーが、逆流し始めたとも考えられるでしょう。

その反面で日本は、2014年春に実施された消費増税が尾をひき、金融緩和を続けざるを得ない状況です。日米が正反対の金融政策を進める2015年。円安ドル高のスピードがこれまで以上に加速すれば、景気悪化への懸念が高まりそうです。
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