株式戦略マル秘レポート/戸松信博の「海外投資、注目銘柄はここ!」

中国の利下げで騰がる中国株と日本株は?(2ページ目)

中国人民銀行が2年4ヶ月ぶりの利下げを実施。今回は過去の利下げ局面を参考に何が買いなのかを検証してみました。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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2010年10月の利上げが中国株停滞の起点

2008年金融危機~2012年夏までのH株指数と米国S&P500指数週足の推移比較。金融緩和か引き締めか、その選択が命運を分けました

2008年金融危機~2012年夏までのH株指数と米国S&P500指数週足の推移比較。金融緩和か引き締めか、その選択が命運を分けました

上のチャート図は金融危機が起こった2008年後半から2012年8月までの週足を、H株指数(上段)と米S&P500指数(下段) と照らし合わせたものです。これらのチャートと米中の金融政策の推移を合わせて見ると、重大な事が分かります。中国株はそもそも金融危機まで米国株以上に好調でした。そして金融危機後に米中は思い切った利下げと緩和策を発表し、両国の株価とも2010年11月までに大きく回復しました。むしろ中国株の方が反発大きかったくらいです。

しかし2010年11月を境に、米中の株価は反対方向へと流れて行きました。バーナンキ前FRB議長の信念である「徹底的な緩和策」によって、まだ回復まで不十分とばかりにQE2、QE3へと進み、ゼロ金利を現在まで据え置いている米国の株は、その後、今日に至るまで上昇が続いています。このチャート時点でのS&P500指数は1400ポイントで終わっていますが、現在2000ポイントを超えています。

一方、不動産バブル問題のある中国は、逆に2010年10月より翌2011年7月まで、5回連続して「利上げ」に走ってしまいました。これが株価的には間違いの元であり、今日に至るまでの低迷に繋がっているように思います。株価的には、中国の利下げは充分でなかったように感じます。利上げラウンドの終了した直後の2011年10月に、中国株は安値をつけました。

2012年6,7月の前回利下げ時の相場パターン

金融政策の違いが中国株と米国株の株価の分かれ目

金融政策の違いが中国株と米国株の株価の分かれ目

利上げが終わった中国株は11年後半から少し上昇するも、2012年春以降に減速が際立ってきました。当時の経済指標は今と良く似ており、消費者物価や卸売物価が非常に弱く推移していたのでした。そこへギリシャをはじめとする欧州債務危機が重なり、2012年6月と7月に2度の利下げを行い、対処しました。利上げの早すぎた中国は利下げへと戻り、迷走しているようです。

この時、相場では不動産株は上昇しました。しかし指数の大部分を構成する銀行株は大きく下がりました。基準金利を下げたのですが、実際の銀行の預金金利には上限に幅を持たせたため、競争が起きて銀行の収益を圧迫すると見られたのです。銀行は利下げで融資の利息収入が減る一方、預金の支払い利息の方は顧客獲得競争によってそれほど下げられないと見られたのです。従って当時6月、7月の利下げ発表翌日の相場は、不動産株の上昇を銀行株の下落が相殺するような形となりました。

今回発表された利下げにおいても同様に預金金利上限が(より一層)拡大され、銀行においては、預金金利はほぼ変わらず、一方貸出利息は減少するということになります。従って2012年の利下げの際と似たような相場になる可能性あると思います。

2012年の利下げはこの2度のみで(0.25%ずつ)、一旦2013年初めに向かって底打ち反転に向かいました。ただ結局2年以上利上げも利下げも何もなし、という傍観姿勢が続いたことで、今日に至るまで中国株の中長期的な往来相場が続いてきたように思います。一方米国は2009年以来ずっと金利をゼロすれすれに張り付け、先月終了するまで量的緩和策も拡大してきたので、両国の株価差は非常に大きなものになったと思います。

>>では結局何を買えば良いのか。次のページで結論です!
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