町中の走行も快適だが、小回りは若干コツが必要
前述したように足つきがとても良く、Dモードを選択していれば加減速どちらも滑らかな為、とても扱いやすい車両なのですが、ちょっとやりずらいな。と感じたのがUターンする時や小さく回る時です。クラッチ付き車両の場合だと半クラッチを使いながら、リアブレーキとアクセルを使って小さく回ることが出来ますが、デュアルクラッチ車両の場合はクラッチがない為にアクセルとリアブレーキだけで低速のコントロールをしなければなりません。
VFR1200Xの場合、アクセルを回せばワイヤーが引っ張られエンジンの回転が上がるアナログな方式ではなく、アクセルの制御を電子制御で行うスロットルバイワイヤのシステムが使われています。今や車の世界では当たり前に使われている技術ですが、バイクの業界では、ごく一部の車両にしか使われていません。
アクセルを回せば素直に回転が上がるアナログ方式と違い、様々な状況下でコンピューターが判断してアクセルのレスポンスをコントロールしている為、若干アクセルのレスポンスが悪いように感じました。
半クラッチが使えないということと、電子制御スロットルの為に慣れるまではUターンや小さくコーナーを曲がる際には注意が必要になります。
長距離を走るとVFR1200Xの全ての装備の正当性がわかる
多少の距離を走行していると欲しくなるクラッチやチェンジペダルも、長距離を走るとなると別のもの。特にここで言う長距離とは100km、200kmという近距離のツーリングではなく、1日に400km~600km程度の超長距離のツーリングの事を指します。今回スタッフが東京から金沢まで片道600kmのツーリングに行くというので、VFR1200Xで行かせてみました。このスタッフも私と同じくデュアルクラッチ搭載車よりも、ギア付の車両の方が良いと言っていたのですが、長距離を走っていると段々とギアの制御が面倒くさくなりデュアルクラッチの恩恵をとても感じていたようです。
少し伏せれば無音状態で走ることが可能なウインドスクリーンや、電子制御スロットルやトルクコントロールの影響で若干レスポンスを悪く感じるスロットルも、雨天時などに走行していると絶大な安心感があります。
すべては様々な路面状況で長距離走っても疲れが残らないように快適に乗れるように。VFR1200Xは長距離ツーリングが好きなユーザーには最適な1台ですが、快適な足つき性や重さを忘れる操舵感は町乗りでも充分に活躍することが可能です。