VFR1200Fのエンジンを使ったクロスオーバーモデル
VFR1200Fのエンジンを使用したクロスオーバーモデルVFR1200Xが2014年3月7日に発売されました。そもそもクロスオーバーとは「異なるジャンルの車両を混ぜ合わせた」という意味があります。VFR1200Xに当てはめてみると、スポーツツアラーVFR1200Fにオフロードの要素を加えた車両がVFR1200Xという事になります。さすがにこの排気量のエンジンを搭載し、車重も重い為、林道や泥んこ道を走るのは難しいと思いますが、ストロークの長い前後サスペンションと後輪タイヤのスリップを防ぐトルクコントロールシステムを搭載している為、砂利道程度であれば安心して走行することが出来そうです。
今回はいつも通り、混み合う都内を通勤で使用したインプレッションをお届けしつつ、スタッフが東京から金沢まで片道600キロ以上をバイクでツーリングに行くというので、VFR1200Xで走らせてツアラーとしての性能を確認させました。
とても重いのに、それを感じさせないVFR1200Xの操舵感
青山のホンダ本社でVFR1200Xを受け取り、さぁ走り出そうと車両を押してみると、とても重く感じました。帰ってからカタログスペックを確認してみると、同車の車重は288kg。エンジンオフの状態で押して歩くと非常に重く感じます。しかし、実際に車両に跨り運転してみると、レーンチェンジからコーナリングまで非常に軽く感じます。
VFR1200Xのシート高は810mmと決して低い数字ではないのですが、ストロークの長い前後サスペンションは体重65kgの私がシートに座るとぐっと沈み込みます。またシートも細くなっているため足つきは非常に良く、カタログスペック上では30mmシート高が低いCB1300SFと同じ程度の足つきに感じました。
信号待ちなどの停車時に車両をつま先で支えると重く感じますが、身長165cmの私が足つきに不安を感じませんでした。軽く感じる理由の一つには足つきの良さも上げられます。
スペックだけ見て足つきに不安を感じた方は実車に跨ってみることをオススメします。
慣れ親しんだクラッチとチェンジペダルが欲しくなる!
VFR1200Xはデュアルクラッチトランスミッションモデルしかありません。以前にもデュアルクラッチ搭載モデルの試乗レビューをお届けしましたが、簡単に言ってしまえば、デュアルクラッチトランスミッション搭載車両はクラッチとチェンジペダルが無く、オートマの車両のように運転が出来るようになっています。また、オートマモードの他にも、マニュアルモードがあり、ハンドル左のスイッチボックスの所にギアを操作するパドルが装着されており、ギアの操作が可能です。また、オートマモード時も早めにギアを上げたり、下げたりすることをパドルで操作することが出来ます。
オートマモードには幅広い走行シチュエーションに対応するDモードと高い回転域を維持しながら走行することが出来るSモードの選択が可能です。Dモードは普通に運転していると加速・減速共に滑らかで、前述したように軽快に感じる操舵感もあいまって大排気量のバイクに乗っていることを忘れてしまいます。
Sモードは明らかに使う回転域が変わる為、確かにスポーツ走行には向いていそうですが、街中では逆にギクシャクして使いづらいかもしれません。
高回転までしっかりと回るエンジンはDモードを使用していると早めにシフトチェンジしてしまう為にあまりパワーを感じることはありません。しかしマニュアルモードであえて高い回転まで使いながらシフトチェンジしていくと、スポーツバイクらしい圧倒的な加速を体感することが可能です。
私が都内での通勤で使用している際には、何度もクラッチとチェンジペダルがあれば、もっと楽しく乗れるのに!と感じました。パドルでギアチェンジをすることは出来るのですが、やはり慣れ親しんだクラッチとチェンジペダルが欲しくなります。