数々の実績を残す世界的指導者
「エディー・ジョーンズ」ってこんな人
2012年より日本代表を指揮するエディー・ジョーンズ ヘッドコーチは、かつてオーストラリア代表を率いて2003年のワールドカップで準優勝を果たしたほか、2007年の第6回ワールドカップでは南アフリカ代表のアドバイザーとして優勝に貢献するなど、数々の輝かしい実績を残してきた世界的コーチです。2009年からはサントリーサンゴリアスのGMに就任し、2010~2011年度にかけてはGM兼監督として日本選手権連覇を果たしました。日本代表のヘッドコーチに就任してからも、2013年6月にウェールズ代表から史上初となる勝利を挙げ、今シーズンも6月にイタリア代表を撃破。この秋には敵地でルーマニアを破り、テストマッチ(国代表同士の真剣勝負)11連勝という日本代表の新記録を樹立しています。
ではなぜ、エディーさんはこれほど短期間に、これだけの素晴らしい成果を挙げることができたのでしょうか。
こんなとこまで準備する! エディーさんのスゴさ
コーチとしてエディーさんがもっとも優れていると感じる点は、「プランニング」です。たとえば1回のキャンプを実施する場合、彼は多くの時間を費やしてあらゆる状況を想定し、詳細に準備を進めます。具体的にどんな準備をしているかといえば、一つひとつのメニューにキーワードとゴールを設定し、どんな状況で行うかということまで想定して、練習計画を組んでいく。雨が降った、想像以上に疲労が蓄積していた、ケガ人が出たなど、実際に練習をすると様々な想定外の出来事が起こりますが、それらに対する準備まですべてやっています。この点に関しては、私がこれまで見てきたコーチ、また世界各地で話を聞いてきたコーチと比較しても、圧倒的に抜きん出た存在といえます。
もうひとつのエディーさんのすごさは、「観察力」です。誰と誰が会話していた、どんなプレーをしてその時どんな表情をしていた、自分が喋った時、その人がどんな顔だった——といったことを、つぶさに見て記憶している。その眼力は、時に怖いと感じるほどです。
この点に関しても彼は本当によく観察しているし、時間と労力を割いていると感じます。キャンプ中、選手は各自で食堂にきてセルフサービスで食べるのですが、エディーさんは最初から最後まで食堂にいて、一皿ずつゆっくり食べながら、席を移動して一人ひとりに話しかけている。冗談をいったり、時には真面目な話もしながら、常にすべての選手とコミュニケーションをとっています。
言葉にすると簡単なようですが、これはなかなかできることではありません。それが大事なことだとわかっていても、実際にやるのは難しい。しかしエディーさんはまったく手を抜かず、徹底的にやり続けることができるのです。さすがというしかありません。