伝統と最新の技術を身に纏う ホンダVFR800F
現行のCB400SFに搭載されているHYPER VTECを同車以外に唯一搭載し、LEDのヘッドライトを採用。ウインカーの点滅を右左折後オートでキャンセルするウインカーオートキャンセラーや、過剰な後輪駆動力を抑えるトラクションコントロールシステム、更に5段階の温度調整が可能なグリップヒーターが標準装備されています。また、通常はフレームとタイヤのホイールを繋ぐスイングアームは左右二本でを固定していますが、VFR800Fは左側のみの片側だけになっています。これはVFR750Fなどにも採用されているVFRシリーズの伝統的な構成です。
そんな伝統的なVFRシリーズの技術を受け継ぎつつ、最新の装備を身に纏ったVFR800Fを今回も都内の通勤に一週間使用してインプレッションをお届けします。
まずはVFR800Fの豪華な装備に注目
VFR800FはLEDのヘッドライトを採用しています。今やPCXやCB400/1300SUPER BOL D’ORにも装備されていますが、初めて採用したのは、PCXでした。PCXのLEDヘッドライトを目にした時の印象は「青っぽくてお洒落だな。」でした。一般的なバルブが黄色っぽい光なのに対して、LEDのヘッドライトの光は青っぽい光になっていたからです。充分な明るさではありますが、HIDのような明るさは感じず、お洒落だけど視認性はそこまで突出して良いわけではない。という印象でした。しかしVFR800FのLEDヘッドライトは非常に明るく、HIDのように照射範囲も広く感じました。いつも青山のホンダ本社で車両を配車してくださる担当の方にお話したところ、「そりゃあ出力が違いますから」ということでした。
車両の構造上大きなバッテリーや発電する為のジェネレーターを搭載することが出来ないPCXなどの原付2種カテゴリの車両にとっては、LEDのヘッドライトで省電力にすることが目的であり、明るさはノーマルとそこまで変わらないのかもしれません。
次に標準装備のグリップヒーターですが、社外のグリップヒーターを後から装着しようとすると、グリップが一回り太くなってしまいます。しかしVFR800Fの場合標準装備の為に違和感が全くありません。
また多少ラフにアクセルを扱っても、トラクションコントロールシステムが働き、リアタイヤが空転することがない為、とても安心感がありました。
エンジンの音は独特の魅力があるが好みが分かれる
エンジンを始動させると、V型4気筒エンジンの鼓動が目を覚まします。このエンジン音は後ほど、youtubeで聞けるページをご案内しますので、是非聞いてもらいたいのですが、独特な音です。車で例えるならば、スバルやポルシェが採用している水平対抗エンジンのようなドコドコといった鼓動感に溢れるサウンドです。以前音に惚れてスバルのインプレッサに乗っていた私としては、最高のサウンドなのですが、友人を乗せると好みが分かれましたので、この音は賛否両論といったところでしょう。
しかし、動力性能は最高の一言。誰が乗っても早く魅力的に感じるはずです。またツアラーとして燃費をきちんと考慮している点も魅力的な点の一つです。CB400SF同様にHYPER VTEC機構を搭載している同車は低中回転域では燃焼効率の良い2バルブ、高回転域では4バルブと切り替えることで、どの回転域でも力強いレスポンスとトルクを出力しています。
80キロ前後で高速巡航しているとトップギアで3400回転前後での走行となる為に2バルブ状態での走行となります。VFR800Fに搭載されている燃費計を見ると30km/Lの燃費をたたき出していました。実際町乗りメインだった為に実燃費は22km/Lぐらいでしたが、VFR800Fはガソリン容量が21Lの為、ツーリングともなれば余裕で400kmから450km程度は無給油で走行可能という事になります。