債券投資には厳しい環境が続く

日本銀行の追加緩和が行われる前から長期金利はやや低下傾向にあったのですが、追加緩和により低下に拍車がかかりました。長期金利は2013年4月以来の0.435%まで低下し、その後も概ね0.4%台で推移するという超低金利にもう一文字「超」を加えたい水準となっています。

長期金利の低下は、住宅ローンを借りる人、借り換えを考えている人にはフォローの風となりますが、預貯金や債券の運用には向かい風となります。幸い、預貯金金利はほとんど低下していませんが、個人向け国債や新窓販国債の金利は低下しています。

預貯金金利が低下しないのは、日本銀行の当座預金金利0.1%が引き下げられないことだと考えられます。かつて、福井総裁時代に当座預金金利は0%になったのですが、黒田日銀総裁はこの金利を引き下げようとはしないからです。余談ですが、変動金利型の住宅ローン金利が下がらないのも、この当座預金金利が引き下げられないからです。

個人向け国債を含め債券の金利が変動(上下)するのは、長期金利などの市場金利に連動するからであり、日本銀行の当座預金金利に連動することはほとんどないからです。日本銀行は追加緩和で買い入れる国債の金額を80兆円まで増額したことから、当面、長期金利が大幅に上昇することはないでしょう。言い換えれば、債券とっては厳しい局面が続いていくことになります。

3年固定は最低金利が続く

2014年11月発行の個人向け国債、新窓販国債の発行条件が出揃いましたが、注目は2年物の新窓販国債です。なんと、11月の募集は金利低下等により募集を行わないことになったのです。新窓販国債という名称で募集が開始されたのは、2007年(平成19年)10月からですが、2年物以外の新窓販国債を含めて1度も募集が行われなかったことはありません。異常な水準(市場を攪乱させる)まで長期金利は低下していることの証のような気がします。

改めて発行条件を見てみると、新窓販国債5年物=0.20%、同10年物=0.50%。個人向け国債は3年固定=0.05%、5年固定=0.08%、10年変動=0.29%となっています。追加緩和があったにもかかわらず、新窓販国債5年物だけは10月募集分より金利が上昇(0.1%)しています。

発行条件を決める時期の違いにもよりますが、追加緩和による日本銀行の国債の買入れが、主に償還期間の長い国債を増枠したことによるものだと推測されます。あくまでも一時的、に異なった動きをしたのであって、大勢的には新窓販国債、個人向け国債ともにその金利は低下傾向あるいはボトム圏での横ばい傾向にあると思われます。

好条件の社債は発行されず

新窓販国債、個人向け国債の金利が低下していることから、少しでも好金利を求めるのであれば個人向け社債に目を向ける必要があります。しかしながら、個人向け社債も長期金利の低下等を受けて好条件のものはなかなか発行されていません。

2014年10月に発行された近畿日本鉄道は5年物=0.47%、東海東京フィナンシャルホールディングスは1年物=0.41%でした。同社は3ヵ月物=1.0%の好条件の個人向け社債を11月に募集したのですが、東海東京ファンドラップを契約(新規契約は300万円以上100万円単位)した投資家への優遇債券でした。

11月には北陸電力が4年物=0.33%を募集している程度(11月17日現在)に過ぎません。11月後半から冬のボーナス時期を迎えつつありますが、好条件の個人向け社債の発行に過度な期待はしないほうがよいでしょう。ただし、発行条件に関する情報のアンテナだけはしっかり張っておきましょう。
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