船内をイメージした車内
広に停車した後、仁方(にがた)を通過したあたりから、再び瀬戸内海が現れ、眺めがよくなってくる。車内は瀬戸内海を航行するクルーズ船内をイメージしたつくりで、壁には浮輪やオール、羅針盤が飾られているし、丸窓もあって列車内とは思えない。電車ではなくディーゼルカーにしたのも船のエンジン音を真似したいためだろうか?
自由席への連絡扉付近のカウンター席は指定券を持っていれば誰でも利用できるフリースペース。乗車記念のボードも用意されていて記念撮影も可能だ。但し、先ほどの観光案内係は呉で降りてしまったので、他の乗客に頼むしかない。車内販売もないこともあわせ、観光列車にしてはちょっと淋しい。
「瀬戸内マリンビュー」の車窓から(安浦~竹原)
安浦あたりの車窓から見える瀬戸内海には牡蠣(カキ)の養殖イカダが浮かんでいる。風もなく波もほとんど立たず、暖かで、のどかだ。牡蠣を話題にすれば、そろそろおなかがすいてくる頃。急には駅弁を入手することはできないので、乗車前に、広島駅で穴子飯やカキ弁当を買っておこう。
安芸津に停まり、しばらくすると列車は山間部にさしかかる。やがて竹原で対向列車すれ違いのため5分間停車。NHK朝ドラ『マッサン』(2014年秋~2015年春放送)人気のせいで、かなりの人が降りていく。
竹原には、マッサンのモデルとなったニッカウヰスキーの創始者・竹鶴政孝の生家竹鶴酒造があり、町も安芸の小京都と言われるほどの趣ある場所で、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。JR西日本と沿線自治体では観光キャンペーンとして、ドラマの登場人物写真などをラッピングした「マッサン電車」を呉線で走らせPRに努めている。