快速列車「瀬戸内マリンビュー」の編成と車内
快速「瀬戸内マリンビュー」は、土休日を中心に、広島からJR呉線経由で三原まで1日1往復する観光列車である。短い2両編成の列車で、全区間電化された路線を走るのにディーゼルカー。三原寄りの車両(2号車)は自由席で、車内中央に僅かなボックス席がある以外はロングシートだが、広島寄りの1号車(指定席)はボックス席、海を向いたソファー席、それに海を向いたカウンター席が並んだ観光列車仕様である。せっかくだから520円の指定券を買って乗ってみた。
指定席車両はほぼ満席、自由席も観光客のみならず、沿線の利用者が大勢乗りこんで混雑した状態で広島駅を出発した。指定された座席は通路をはさんで山側のソファー席。2人で乗るため予約した席はAとD。L字形のソファーで、窓を背にした部分にAとDが並び、進行方向の席がB、C席はなく3人でテーブルを囲んで座るようになっていた。
「瀬戸内マリンビュー」の車窓から(広島~呉)
広島を出て数分、山陽本線を走り、海田市(かいたいち)からいよいよ呉線に入る。時刻表では呉までノンストップになっているが、単線なので、ときどき停車して対向列車とすれ違う。早くも進行方向右手には瀬戸内海が見えてきて車窓を楽しめる。
年配の女性2人が呉の観光案内用パンフレットを配ってまわりながら、乗客の行き先をアンケートに取っている。呉で降りる人も目につくけれど、竹原、終点三原で乗り換えて尾道へ行く人も多い。とくに竹原は、2014年秋から始まったNHK朝ドラ『マッサン』の主役であるカップルの夫の実家があるところなので、急激に人気が高まったようだ。
呉で何人もの乗客が降りていったが、入れ替わりにほぼ同数の人が乗ってきた。グループ客はボックス席に陣取って酒盛りを始める。賑やかだ。かつて軍港として栄えた呉には、大和ミュージアムや潜水艦あきしおがあって人気なので、駅名標にも戦艦大和のイラストが描かれている。