外国通貨の製造受注に向けた取り組みを行う財務省と造幣局
日本の貨幣製造技術が世界に(写真は大阪造幣局)
今回は、我が国の貨幣製造技術によりつくられたこれまでの外国貨幣の製造実績について追っていきたいと思います。
平成19年より外国貨幣の製造受注が始まった
日本が戦後に外国の貨幣を製造受注するようになったのは、平成19年から。ニュージーランドの1ドル記念銀貨幣の製造受注が最初になります。その後、平成24年においては、スリランカから、「日本・スリランカ国交樹立60周年」を記念した1000ルピー記念銀貨も製造受注することになり、これまで7つの貨幣について製造受注をした実績があるのです。〔製造受注実績〕
<平成19年>ニュージーランド
1NZドル銀貨:アオラキ/マウントクック
<平成24年>スリランカ
1000ルピー記念銀貨:日本・スリランカ国交樹立60周年
<平成25年>バングラデシュ
2タカ貨幣:一般流通貨幣
<平成25年>バングラデシュ
100タカ記念銀貨:バングラデシュ国立博物館100周年
<平成25年>カンボジア
3000リエル記念銀貨:日本カンボジア友好60周年
<平成26年>ブルネイ
30ブルネイ・ドル記念銀貨:日本ブルネイ外交関係樹立30周年
<平成26年>ミャンマー
5000チャット記念銀貨:日本ミャンマー外交関係樹立60周年
製造受注実績のうち、ほとんどが記念銀貨であることがわかります。また、スリランカやカンボジア、ブルネイ、ミャンマーの受注実績は、すべて日本に関係のあるテーマがもとで発行されています。やはり、こうした関係性を表したものが主に受注できているといえます。
特筆すべきなのは、バングラデシュです。バングラデシュにおいては、記念銀貨の他に、なんと一般に流通する貨幣(2タカ)の製造受注にもかかわっています。しかも造幣局初のステンレス貨幣。製造受注までには紆余曲折合った模様ですが、入札の末、日本が受注することになりました。平成26年9月6日には、安倍総理大臣がバングラデシュ訪問に際し、「バングラデシュ2タカ貨幣入り平成26年銘貨幣セット」がシェイク・ハシナ・バングラデシュ首相に贈呈され、両国の友好親善の証となっています。
過去を遡るとロシアやタイの通貨を製造していた時代も
ちなみに、造幣局では戦前にはロシアの一般流通貨幣を大正4~5年度に、タイの一般流通貨幣を大正15年度~昭和4年度に製造していた実績もあります。今後、日本においては電子マネーの普及などにより貨幣製造はさらに減っていく可能性があります。そうした補完という意味からしても海外の貨幣の製造受注の意義は大きいといえます。もしかすると日本の貨幣製造技術が認められ、アジアを中心に様々な国における貨幣を生み出すといった時代が訪れるかもしれませんね。