「アレグラ」に乗って箱根登山鉄道の旅
滝廉太郎作曲の名曲「箱根八里」の発車メロディーに乗って、電車は箱根湯本を出発するといきなり急勾配を上りだす。最大1000分の80(かつてのJR信越本線の碓氷峠でも1000分の66.7)は、アプト式などのラックレールに頼らない粘着式鉄道としては日本一の急勾配だ。
トンネルを抜け、最初の駅・塔の沢に停車。右手ホームには銭洗弁天の入口が見え、珍しい光景となっている。駅を出て、トンネルを2つ抜けると早川に架かる出山鉄橋を渡る。眼下には深い渓谷があり、なかなかにスリリングだ。古風な鉄橋は登録有形文化財として認定され、箱根登山鉄道の走行写真として色々なところで紹介されている。
鉄橋を渡り、トンネルの中で半周して左手下に、渡り終わったばかりの出山鉄橋が見えると停車する。出山信号場で、駅ではないのでドアは開かない。運転士と車掌が線路脇にある通路をつたって前後を交代。電車はバックして、別の線路に入る。ジグザグに進みながら高度をあげるスイッチバック方式で、次の大平台駅もスイッチバック。この駅ですれ違うことになる強羅発の電車と合流しながら競走するようにしてホームに進入するときもある。
再度向きを変え、しばらく進んで上大平台信号場で3回目のスイッチバック。この先は、アレグラが最後尾となり、そのまま強羅を目指す。
急カーブ、急勾配を繰り返しながら進んで宮ノ下到着。名旅館の誉れ高い富士屋ホテルも近く、箱根周辺へのバスに乗り換える人もいる。この駅は、あじさいの名所であり、夏の「夜のあじさい電車」は、ここでしばらく停車して記念撮影タイムとしている。
あじさい電車についての記事は、こちら
小涌谷駅の手前では、並走している国道1号線(東海道)との唯一の踏切がある。正月の箱根駅伝のときは、選手通過のために電車が一旦停車することでも有名だ。
野外にある彫刻の森美術館の脇を走り、彫刻の森駅に停まれば、次は終点の強羅。ケーブルカーへの乗換駅である。強羅で乗客を降ろした電車は、そのまま折り返すのではなく、一旦小田原方面へバックし、転線して2番線に入ってホームで待っている乗客を乗せて箱根湯本へ戻っていく。
箱根登山鉄道の便利な乗車券
■箱根フリーパス登山電車、バス、ケーブルカー、ロープウェー、海賊船など指定区間では乗り降り自由。施設での割引、都心から小田急で往復などバリエーションもある。
■トコトコきっぷ(電車・ケーブルカー1日乗車券)
箱根登山電車(小田原~強羅)とケーブルカー(強羅~早雲山)が乗り放題。
お値段、特典などは、こちら
温泉、レジャー施設、美術館と楽しみが一杯の箱根へ、新たにデビューした「アレグラ」を利用して出かけてみるのはいかが。
箱根登山鉄道のアレグラ紹介サイト