沿線に温泉地が目白押しのJR吾妻線
JR吾妻線は、上越線の渋川から分岐し、万座・鹿沢口を経て大前に至る55.3kmのローカル線だ。全線単線ではあるが、沿線には温泉地が多数あることから、行楽客の利用も多く、上野から特急「草津」が直通できるよう電化されている。ちなみに、渋川を含めて吾妻線各駅から行けるおもな温泉は以下のとおりである。
渋川駅=伊香保温泉、渋川温泉
金島駅=金島温泉
小野上温泉駅=小野上温泉
市城駅=あづま温泉「桔梗館」
中之条駅=四万温泉、沢渡温泉
川原湯温泉駅=川原湯温泉
長野原草津口駅=草津温泉、花敷温泉、尻焼温泉
万座・鹿沢口駅=万座温泉、新鹿沢温泉
大前駅=嬬恋温泉「つまごい館」
吾妻線の車窓から
上野から1日2往復(土休日は3往復)している特急「草津」に乗って1時間40分ほどで渋川着。いよいよ列車は、上越線と分かれ、左にカーブして吾妻線に乗り入れる。金島を過ぎ、はるか上空を横切る上越新幹線の高架下をくぐり抜ける頃から、右手に吾妻川の清流が見えてくる。祖母島(うばしま)を通過すると、吾妻川を渡り、しばらくは川の眺めは左手に移る。中之条、群馬原町に停車、何人もの乗客が降りて、車内はゆったりしてきた。岩島を通り、しばらく走ると、旧線と分岐し、いよいよできたばかりの新線に入る。左にカーブしつつ、近代的なコンクリート橋で吾妻川を横切ると、4489mもの長さの八ッ場トンネルへ。抜けると真新しい川原湯温泉駅に停車する。旧ルートでは、日本一短いたった7mの樽沢トンネルがあり、吾妻川の渓谷美が堪能できたのだが、すべては闇の中となってしまった。その代わり、土砂崩れの恐れなどにより頻発した運休もなくなり、利便性は向上した。