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競技生活からの引退を発表した高橋大輔(2ページ目)

2010年バンクーバー五輪銅メダルの獲得、2010年世界選手権優勝など、輝かしい成績を残してきた高橋大輔さんが、競技生活からの引退を発表しました。

執筆者:長谷川 仁美

愛されるスケーター高橋大輔

高橋さんは、世界中のファンから愛されているスケーターです。

年下の選手の憧れであるだけでなく、年上のスケーターからも演技を楽しみに待たれてきました。2013年12月の全日本選手権で5位になったとき、彼がソチ五輪代表にならないと思った海外の年上のスケーターが「彼を五輪で見られないなんて!」とコメントしていました。また、ミーシャ・ジー選手(ウズベキスタン)は10年前、高橋さんの試合の公式練習をビデオに撮り、それをお手本に練習を重ねてきたといいます。

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謙虚で優しく、穏やかで気を使う、そのキャラクターでも愛されてきました。

引退会見でも、「今まで応援してくださった方の前で『引退します』と公言しないまま、ファンの方の心の準備がないままの引退となってしまって申し訳ない」とファンへの思いも語っています。

また、この時期への公表には、後輩スケーターへの配慮も見えました。「(引退発表の)タイミングとしては、シーズンが始まる前にしたいなと。他の選手もこれからモチベーションを上げる中で、自分も選手をやっていたので、(シーズンイン)前がいいのかなと」。選手たちへの配慮とともに、「あとは任せたぞ」という後輩たちへのエールにも感じられます。

高橋さんは、会場でスケートを見る醍醐味も教えてくれる存在です。

ステップの1つひとつが驚くほど伸びることや、氷をひと蹴りしただけであんなに進むということを見せてくれました。1万人を超える広い会場でも、パワーや気迫で満ち満ちる空間の濃密を、何度も感じさせてくれました。だからこそ私たちは、彼が出場すると聞くだけで、試合でもアイスショーでもわくわくさせてもらってきたのでしょう。


高橋大輔というスケーターに……

8月のフレンズ・オン・アイスでは、高橋さんの身体の切れ味は突出していました。引退決定は9月半ばとのことなので、あの時点ではまだ心を決めてはいなかったと思うけれど、「多分、どこかに(引退の気持ちは)あったんだと思います」と言っている通り、すでに、肩から重い荷物を下ろした人の演技に見えました。

今後については、まだ決まっていないといいます。

「何に情熱を持ってきたかと考えた時、スケートしかなかった。これが本当のものなのか、次から次に来るものを消化してきたものかわからないので、(スケートから少し)引いたところで生活してみれば、どこまでスケートを好きでいたのか、これを本当にやっていてよかったと思えたのかわかると思う。特にはっきりと決めずに、流れのままにいこうと思います」

こんなにも稀有な体験、喜び、思いをさせてもらったスケーターに、こんなにもありふれたことしか言えないのがひどくもどかしい。けれど、シンプルだけど、あなたの決めたことを尊重したい。お疲れ様でした。たくさんの素晴らしいスケートを見せてくれて、本当にありがとう。これからも楽しみにしています。

彼のスケートに一度でも胸を震わせたことのある人は皆、そう思っているのではないでしょうか。
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