道具としてiPhoneを考えていたジョブズ
5インチ級ディスプレイがごく普通である最近のAndroid端末。大画面化のトレンドのなか、iPhoneのディスプレイがなぜより小型なままだったのか?というと、ひとつにはあのアップル社のCEOだったスティーブ・ジョブズ氏がiPhone 当初の「3.5インチ」のディスプレイサイズが絶対だと考えていたことにあります。その登場時からiPhone 4sまで、iPhoneのディスプレイサイズは3.5インチに抑えられていました。一方Android OSを搭載したスマホでは、同じ時代でも4インチ程度のディスプレイサイズのものは普通に存在していました。
ジョブズが最初のiPhoneを考えたとき、それを「情報機器」としてだけでなく、手に持って使う道具としての「道具性」をも重視したものでした。手のひらで自由にハンドリングできたり、片手でディスプレイのどこにでも指が届いたりと手軽に使えることを重視していたわけです。
そのため、ジョブズはiPhoneのディスプレイを拡大するということを考えていなかったようです。そんなiPhoneのディスプレイもジョブズの死後、2012年9月に発売されたiPhone 5では4インチに拡大されました。
5インチオーバーの波
そんななかサムスンのGALAXY Noteは、グローバルでは2011年9月、日本国内では2012年4月に、5.2インチという5インチオーバーなサイズで登場、人気となりました。この機種の登場以降、Android端末のディスプレイサイズのトレンドはあっという間に5インチとなり、今では5インチオーバーが普通となっています。大画面でスマホを使ってみると、1画面の表示情報量が大きいことによる利便性や、ビデオ動画などをより快適に見られること、電子書籍が読みやすいこと、デジカメ画像がより大きく表示できるなど、さまざまなメリットがあることが明確になり、快適性が上がることがわかってきたわけです。
そして、この大画面というのはAndroid端末のアドバンテージとなり、5インチオーバーの大画面を使いたいばかりにiPhoneからAndroidに移行する人が出てきていました
一気に大画面化したiPhone 6
そんな状況下で、人々のニーズを考え、アップル社はiPhoneのディスプレイを拡大することを決断したのでしょう。それも一気に4インチから4.7インチと5.5インチです。これはかなり思い切った決断ではないか?という感じです。そして、実際の製品を見ると、大画面に手慣れない面が見えてきました。
現在のAndroid端末はディスプレイの大型化戦争のなかで、ボディサイズの割にディスプレイサイズが大きいというデザインを磨き抜いているのですが、iPhoneは従来のデザインを継承して、大雑把に言えばディスプレイ、ボディ比率をあまり変えないままディスプレイが大きくなっています。
そのため、Android端末と比較すると、ディスプレイサイズの割にボディが大きくなっています。ただし、薄さは非常に薄くなっており、これがスタイリッシュではあります。このあたりは今後、アップルが大画面スマホのノウハウを積んで、Android端末のようにディスプレイ比が上がっていく可能性はあります。次モデルではこのあたりが実現されるかもしれません。
iPhone 4、5からiPhone 6への移行は絶対か?
このようにiPhone6はドラスティックなモデルチェンジであるがゆえに、大画面化して得た物もあるし、失ったものもあるわけです。iPhone 4やiPhone 5が持っていた軽快さ、「ジョブズの哲学」というところが好きな人はiPhone5sをとりあえず使い続けるのかも知れません。そんな人がいるため、日本国内でもiPhone5sはある程度のセールスがあるといいます。そして、僕自身もiPhone5sを使い続けています。