C型肝炎根治には「インターフェロン」以外に選択肢がなかった
C型肝炎根治にはインターフェロンの注射が必要でした
C型肝炎を治療する方法として有効であったのは、「インターフェロン」と「内服薬」を併用する治療法でした。C型肝炎ウイルスを根治する方法としては、インターフェロン以外には選択肢がなかったといえます。
インターフェロンの副作用で治療をためらっていた人に朗報!
インターフェロンには、インフルエンザ様症状や血小板、白血球減少などを高頻度に認めますし、うつ状態の出現や糖尿病の悪化などさまざまな副作用がでることがあります。実際、インターフェロン治療の適応とされても、「インターフェロンは副作用がきついから受けたくありません」と拒否される患者さんが多かったのも事実です。しかし、そのような患者さんに対しても、「飲むだけ」でC型肝炎が治癒する新しい薬が2014年9月より発売されました。 「長くつらい治療」といわれたインターフェロンを用いなくても治療できるようになったのです。
C型肝炎の新しい薬は「飲むだけ」で終了
飲み薬だけなのでインターフェロンの副作用は心配ありません
ダクルインザ錠を1日1回、スンナプラカプセルを1日2回、計24週間(約6か月)飲むだけで終了です。インターフェロンの注射に比べれば本当に簡単です。
「インターフェロン」と「C型肝炎経口新薬」の副作用の違い
インターフェロンは直接ウイルスに作用するのではなく、非特異的に抗ウイルスタンパク、免疫を誘導する作用を有する薬です。インターフェロンの受容体は様々な細胞にあるため、インフルエンザ様症状や発熱、骨髄抑制など全身に様々な副作用が出現します。それに対して、ダクルインザとスンベプラはいずれも直接作用型抗ウイルス薬、DAA(direct acting antivirals)と呼ばれる薬剤です。ウイルスに直接作用するため副作用は少なく、自覚症状は軽い鼻咽頭炎ぐらいです。ただし、肝機能異常をきたしやすいので定期的な血液検査が必要になります。
C型肝炎新薬の治療効果は84.7%!
ダクルインザ・スンベプラ併用療法は、国内第3相試験の結果、治療終了24週後にウイルス消失の持続が確認された割合は、インターフェロン治療ができなかった患者さんで87.4%、インターフェロンが無効であった患者さんで80.5%、全体では84.7%と良好な有効性が確認されています。インターフェロン併用しても治療が困難だった数年前に比べて、格段に治療成績が向上しています。効能追加によりさらに「治療のハードル」が下がる
C型肝炎の治療が受けやすくなりました
2015年3月から効能が追加され、「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」となりました。つまり、セログループ1のC型肝炎で進行した肝硬変でなければ治療可能ということです。
以前は、治療を行うのに「インターフェロンを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者」もしくは「インターフェロンを含む治療法で無効となった患者」という制限がありましたので、グッと使いやすくなりました。
C型肝炎新薬は遺伝子変異があると効きにくいという欠点も
いいとこづくしのC型肝炎新薬のように思えますが、注意しておくべきこともあります。特殊な遺伝子変異がある場合は薬剤耐性株(NS5A・NS3耐性変異株)ができ、有効率(SVR率)が40%ほどに留まるといわれています。薬剤耐性株ができて治療がうまくいかなかった場合は次の治療選択が難しくなる可能性が指摘されています。C型慢性肝炎に対する治療ガイドラインでは、「前治療無効例では治療前にNS5A・NS3領域の耐性ウイルスの有無を測定することが望ましい」としています。可能なら遺伝子変異を有無を確認してから治療を行った方がいいでしょう。血液検査で確認可能です。この検査は保険適用外となっていますが、最近は医療機関や薬剤メーカーが負担してくれることも多くなっているようです。
C型肝炎は確実に治る病気に
C型肝炎は確実に治る病気となってきています
インターフェロンが使用できず、経口新薬に対しても遺伝子変異がありさほど効果が望めない場合は、効果が期待できるインターフェロンフリーの薬を待つという選択肢もあります。ただし、新薬を待っている間には肝炎・肝硬変の進行や肝がん発症のリスクはあります。治療法の選択には、メリット、デメリットがあるので、担当の先生と十分相談して決めた方がいいでしょう、
C型肝炎の治療は、ここ数年で飛躍的に進歩し高率にウイルスを排除できるようになってきています。C型肝炎は今後確実に治る病気となっていくでしょう。