年収200万円時代に考えるお金サバイバル術/年収100万円の自由人・山崎寿人さんインタビュー

無職生活24年、なぜ年収100万円の自由人を選んだのか

東大卒、無職生活24年、年間100万円で“豊かな節約暮らし”を実践中――。「“自分らしい幸せ”を追求していたら、このスタイルになった」という山崎寿人さんのインタビューを5回に渡って紹介します。第1回目は、エリートサラリーマンを辞めて今の暮らしに至るまでの経緯を伺いました。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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東大卒の元エリート会社員はなぜ 「年収100万円の自由人」を選んだのか?

なぜ自由人を選んだのか

なぜ自由人を選んだのか

中高一貫の名門校から東大へ進み、大手酒類メーカーの広報マンとして活躍――。そんなエリート街道から一転、“年収100万円の自由人”として生きることを選び、豊かな節約生活に突入した山崎寿人(やまさき ひさと)さん。以来、24年間無職、年間100万円生活を続けています。いったいどんな経緯で今に至ったのか、お話を伺いました。

――東大卒のエリートサラリーマンだった山崎さんが、今のライフスタイルを選ばれたのは、なぜだったのでしょうか?

山崎寿人さん 正直、何か決意を持ってこの暮らしを選択したというわけではありません。“自分にとっての幸せ”を追求していたら、ここに行き着いたといった方が正しいでしょうね。僕が会社を辞めたのは30歳の時だったのですが、そもそも、“30歳までの5年間で一番面白い時間を過ごせるところ”という基準で選んだ場所だったんです。実際、1年目から大きなプロジェクトを任せてもらえるなど、非常に恵まれた環境で自由に仕事ができていたし、充実していました。会社からも評価してもらっていたけれど、30歳になった時に、「ここにいても、これ以上面白い仕事とは、この先もう出会えないんじゃないか」と、“お腹いっぱい”になってしまったんです。ちょうど小説を書こうと思っていたこともあり、1~2年フラフラして広い世界を見たあとで再就職するのもいいかなと。

でも、いざ辞めてみると、小説はなかなか書けず、うまくいかない。そうこうしているうちに、だんだん自分の生活をデザインし直して、新たにクリエイトする面白みにハマってしまった。この生活をもっと突き詰めてみようと思ったんですね。

――著書の『年収100万円の豊かな節約生活術』にもありましたが、会社を辞めた後の経緯もユニークですよね。日本新党の立ち上げにも関わっていらしたとか。

山崎 友人に手伝ってくれと誘われて、細川護煕さん(後の第79代首相)が旗揚げした日本新党に参画したんです。当時は細川護煕さん含め、まだ5~6人しかいませんでしたね。同僚には、前総理の野田佳彦さん、現在参議院議員の長浜博行さん(野田内閣時の環境大臣)、元横浜市長で現在衆議院議員の中田宏さんなどがいて、今考えるとそうそうたるメンバーと一緒に仕事をしていました。党が大きく育っていった創生期。エネルギー溢れる現場で新しいものを作り上げていくことは、毎日が文化祭のようで楽しかったですね。

その後は、友人が経営する会社のアドバイザーをしたり、不定期の仕事をこなしていた時期もありましたが、それも徐々にフェイドアウト。 幸いにして、親の遺してくれた古マンションの家賃収入が年間100万円あったので、それを頼りにこの生活に移行しました。その不動産は維持費の関係で数年前に1千数百万円で売ってしまいましたが、年金の受給年齢までの支出を計算すると使えるお金は年間100万円なので、これまで通りのやりくりを行なっています。

――それまでのエリート街道から逸れることに、不安はなかったですか?

山崎 僕自身、自分がエリートだなんて微塵も思ったことはないです。むしろ子どもの頃から、“どうも社会と価値観が合わないな”と、違和感を感じてきました。東大に入ったのも「世の中のエリートと呼ばれる奴らはどんなものか見てやるか」くらいの感じで、単に興味から。それまで中高一貫の学校に通っていたのですが、非常にユニークな学校で、周りも自由気ままな奴ばかり。進学校でしたが、授業そっちのけで好きなことをしていました。だから、3浪したとはいえ、東大に入った時は「お前が?」とみんなが驚いたくらい(笑)。全国模試でも、最初は38000人中32000番くらいという惨憺たる結果でしたから。

昔から、人にものを習うのが好きじゃないんです。人から何かを習うことは“自分で考える”という一番美味しいところをもっていかれる気がして悔しい。そういう考え方の延長が、この生活につながっているんでしょうね。

★次に、話題の著作が生まれた背景についておうかがいします!

教えてくれたのは…
山崎寿人(やまさき ひさと)さん
1960年生まれ。東京大学経済学部卒業後、大手飲料メーカーの広報マンとして5年にわたり活躍するが30歳で退職。その後日本新党の立ち上げにかかわり、小説家を志したことも。20年以上定職につかず、自分で豊かな生活をデザインする自由人として暮らす。著作『年収100万円の豊かな節約生活術』はベストセラーに。

取材・文/西尾英子
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