離婚する夫婦の1~2%が選択する「裁判離婚」
夫婦が「原告」と「被告」という立場で、法廷にて闘っていく裁判離婚には相応の覚悟が必要になります
そこで、今回は「どういう夫婦が裁判離婚になるのか」「裁判離婚とはどういうものか」など裁判離婚について詳しくみていきましょう。
どんな場合を「裁判離婚」というの?
ふたりの離婚協議がうまくいかない場合、話し合いは調停の場に移ります。その調停も不成立に終わったとき、夫婦の一方が家庭裁判所に離婚の訴えを起こします。これが、いわゆる裁判離婚です。訴えをおこすほうが「原告」、相手方は「被告」となって、以降はお互いが裁判所で闘っていくことになります。裁判離婚を起こすメリットは、法的な強制力がある点。必ずしも自分の望んでいる結論を得られるとは限りませんが、最終的に裁判により決着がつくことは確実に約束されています。したがって、たとえば「慰謝料は払わない」「養育費を一銭も払う気はない」など金銭面で納得のいかない話し合いの結果、裁判に持ちこむというケースもありえるでしょう。
家庭裁判所に申し立てをして、間に人を介することで離婚を進めるという意味では、「調停離婚と同じでは?」と思うかもしれません。ところが、調停離婚と裁判離婚は、さまざまな面で異なります。
「裁判離婚」にかかる費用の相場は?
調停離婚と裁判離婚のもっとも大きな違いは、離婚成立までにかかる費用についてでしょう。約2000円で申し立てができる調停離婚と違って、裁判離婚は平均でも100万円近くのお金がかかることになります。
その内訳は、収入印紙代を含む離婚請求料1万3000円、郵便切手代6400円、弁護士の報酬などです。離婚請求料については、「離婚」以外で、別途、財産分与など金銭の支払いも訴える場合には、内容や請求金額に応じて請求料がかかります。でも、なんといっても経済的に大きな負担になるのは、弁護士をたてる際の費用についてでしょう。たとえば、離婚について弁護士に相談するときは、30分ごとに5000~2万5000円ほど、さまざまな書類作成費用に5~30万円、裁判の着手金として15~30万円ほど、それぞれかかることもあります。
また、裁判で勝訴した結果、弁護士への報酬金として30~60万円。財産分与や慰謝料の獲得金額によっては、さらに加算されることも考えなくてはなりません。このように、裁判離婚をするためには、自分にある程度の蓄えがあったり、相手の資産などに期待できたりする環境が必要になってきます。
調停離婚のときと同様、弁護士は「絶対に立てなくてはならない」ものではありません。ただし、裁判になれば専門的な知識がないことが圧倒的な不利を招くことは明らかでしょう。
ちなみに、弁護士費用を用立てることができない人には、日本司法支援センター(通称:法テラス)による「弁護士費用立替払い制度」もあるので、参考にしてください。
「裁判離婚」を起こすには、“法的原因”が必要です!
裁判で決着が着くまでに1~2年以上かかることもあるので事前の準備はしっかりと!
さらに、法律上の一定の原因も必要になります。裁判離婚を起こすことのできる原因は、下記の5つです。
- 不貞行為(配偶者以外と性的関係を持つこと)
- 悪意の遺棄(故意に同居や夫婦生活の協力を拒否したり、扶養義務を怠ること)
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他、婚姻を継続しがたい重大な事由(暴行、浪費、犯罪、性格の不一致など)