山岳レジャーと気象災害
5月を迎える頃になると、気温が上がり、海に山に友人同士やファミリーで繰り出すのにとてもよい季節になります。そんな中、今空前の登山ブームによって多くの人が軽装で山へ向かいます。そこに危険は全くないのでしょうか?この数年、山での事故は増加傾向にあります。山岳地の天候は急変しやすく、平野部の天気予報とは全く異なることをご存知でしょうか。これによって滑落事故や体調の急変など、重大な怪我や死亡事故につながっています。「まさかあんな場所で」というような低い山でも、多くの登山者が訪れることによって事故件数は急増しており、2008年から2009年にかけての山岳部での事故件数は過去最高となっています。これらの多くの事故の発生原因としては、山への知識不足や準備不足が指摘されています。
天気予報でその地方が一日晴天の予報であっても、山岳地においては急な雷雨や強風が発生しやすいものです。それは、ベテランの登山者であっても正確には予想できないものです。では山での事故をどのように防げばいいのでしょうか。
まず現地の情報を当日まで十分に収集すること。天気図で低気圧の接近や前線が近づく情報があれば思い切って中止する勇気を持ってください。またどんなに低い山であっても、山登りには相応の服装と準備が必要です。同伴者に経験者がいれば、その指導に従って、適切な登山靴や雨具などの装備品を用意してください。
また、この数年の気象情報として「記録的な豪雨」が何度も報道されましたが、この傾向は今後も続くといわれていて、山間部にあっても同様です。そして特にこの時期、事故のリスクが増大するのが河川周辺でのレジャーです。急激な増水は避難が遅れることも多く、毎年同様の事故の例が報告されています。河川周辺のキャンプやバーベキューなどを予定している方は、安直に「この程度なら大丈夫」と自己判断しないように、これまで以上に天候の急変に特に注意して欲しいと思います。降雨量に関しては、過去の記録や経験をはるかに超えた事例がここ数年何度も発生しているからです。
自分のいる場所でたとえ雨が降っていなくとも、上流での豪雨が下流での事故につながったケースもこれまでも何度も起きています。また雪どけ水は水温も極端に低く、うかつに河川に入ることも多くの事故につながります。このように、山岳地のレジャーは様々なリスクの上に成り立っています。それらをふまえて、ぜひ、十分な知識と準備を持って日本の雄大な自然を楽しんで欲しいと思います。