自動運転の大本命銘柄、モービルアイ(MBLY)
2014年8月1日に自動運転の大本命銘柄、モービルアイ(MBLY)がニューヨーク証券取引所に上場しました。モービルアイ(MBLY)はカメラを通じた情報認識処理技術により、自動車の衝突や蛇行運転の防止、車間距離の警告など、各種運転支援システムを開発する会社です。近い将来にはこの技術を応用して自動運転システムが実用化されるとのことで、米国投資家の高い関心を呼び込んでいます。登記上はオランダの会社です(欧州企業は節税目的でオランダの島に設立することが多い)。実態のある研究開発拠点はイスラエルにある会社であり、イスラエル企業としては最大の米国上場案件となりました。モービルアイの運転支援技術は世界トップ25の自動車メーカーのうち、22社に採用されています。モービルアイのCEOは、かなり以前から自身のアウディA7に自社システムを取り付け、通勤中(イスラエルの高速道路)は両手を離し、iPhoneでニュースをチェックをしながら毎日会社に向かっていました。このアウディ車は自ら車間距離、車道、障害物を人の眼に代わって検知し、スピードを上げたり緩めたりしして進んで行きます。いよいよこれが2017年頃から一般消費者にも現実のものとなりそうです。そして10年後には420億ドルもの自動運転技術市場に発展し(昨年の同社売上は1億4400万ドル)、20年後には世界から事故が消える(同社CEO談)との見方もあります。
安価で高機能!他社システムと併用可能な点に強み
同社は単眼カメラから得た情報を先進運転補助システム(アドバンスト・ドライバー・アシスタンス・システム=ADAS)に取り込んで行くための半導体を開発します。実際に同社の「EyeQ」という衝突を避けるためのチップを製造するのは、スイスの半導体メーカー、STマイクロエレクトロニクス(STM)です(つまり同社は工場を持ちません)。モービルアイはその設計に携わり、いわばソフトウェア開発企業のような存在と思われます。自動車部品メーカーではないので、利益率は非常に高い(粗利益率75%)のです。同社システムの特徴は、単眼カメラで情報を取り込むというシンプルかつ低コストな点にあります。スバルの「アイサイト」のように複眼カメラによる情報処理ではありません。またレーダーや超音波、レーザースキャナーなどのセンサーも用いず、あくまで一つのカメラによって障害物や車線、車間距離などを分析しているのです。一方、グーグルの自動運転システムはGPS機能や地図情報など、人の眼には映らない多くのデータに依存しており、全く違う仕組みとコストを持ちます。
つまり同社システムは人の眼と同じ働きをするものであり、眼前に映った情報が全ての安全システムの元となります。従って暗闇など、カメラに映りにくい状況では不十分なため、実際の車には他社製のレーダーなど、別センサーからの情報と合わせて衝突を防止して行く必要あります。同社はあくまで「眼」の部分を担当することになりますが、前述の同社「EyeQ」チップはこれら全てのセンサー情報を合体させ、総合的に障害物を検知していくものです。基本的に単眼カメラで自動運転を目指す同社システムは、他の複雑なセンサーよりも安価であり、また別の高価なセンサーを付け足すとしても「眼」の部分は基本部分としてあった方が良いため、高級車から大衆車に至るまで、多くの自動車で採用されていくと思われます。近い将来、同社システムと他社技術を併用し、$1,000程度のコストで自動運転技術が殆どの車に搭載されて行くようになりそうです。
事故ゼロ社会に向け、各国で採用が推奨されていく見込み
殆どの事故は、あと2秒少し早く気づいてブレーキを踏めば回避できるとも言われる。同社システムを用いた「緊急自動ブレーキ(AEB)」によって、事故は確実に、大幅に減少させることが可能です。
先駆者である同社は、これまでに殆どのトップメーカーに、計600万個の半導体製品を自動車に納品してきました。600万台に搭載されていることになりますが、自動車は年間1億台も世界で生産されており、まだ充分普及しているとは言えません。自動運転時代幕開けとなるこれから、ようやく同社は成長加速時期を迎えるところです。
同社システムを用いた「緊急自動ブレーキ(AEB)」によって、事故は確実に、大幅に減少させることが可能です。殆どの事故は、あと2秒少し早く気づいてブレーキを踏めば回避できるとも言われます。そしてその原因の殆どが、2秒のよそ見によるものです。人の眼と違い、機械の眼は休みなく正確に働き続け、よそ見をすることもありません。そして衝突の2.7秒前に察知し、ブレーキや警報に連動されますので、事故は減るはずです。また人間の手では真似できないような強力なハンドル・ブレーキ操作も可能で、機械だから避けられたという事故も多くなるようです。実際、搭載車両の事故は圧倒的に少ないので、保険料金が大幅に値下がるとも見られ、今後システムの採用が各国で奨励されて行くと予想されます。
上場時に当初17~19ドルでの募集が計画されていた株価は、申し込み殺到で21~23ドルに引き上げられ、さらに上限を引き上げ最終的に公開価格は一株25ドルと決まりました。そして上場初日は公開価格を+48%上回る37.0ドルで引け、約10億ドルというイスラエル企業としては最大資金を調達するIPOとなったのでした。そしてすぐに時価総額100億ドルを超えるところまで急騰して行きました。その後は乱高下しましたが、2015年12月時点の株価は40ドル~45ドルで落ち着いている様子です。
参考:米国株通信
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