「iVDR」とは?
マクセルから販売されているカセットハードディスク「iV(アイヴィ)」500GBモデル
iVDRはiVDRコンソーシアムが策定したリムーバブルHDDの規格で、「Information Versatile Disk for Removable usage」の略。2009年10月25日に国際標準化機関「ISO/IEC」でiVDRカートリッジが国際標準規格として承認された。
カートリッジタイプのiVDRは、以下の3つの規格が存在している。
- iVDR EX…iVDRの上位規格で、3プラッターの 2.5インチHDDを使用するもの。幅80×奥行き127×高さ18mm
- iVDR…2.5インチHDDを使用する標準規格。幅80×奥行き110×高さ12.7mm
- iVDR mini…1.8インチHDDを使用する小型規格。幅80×奥行き67×高さ10mm
魅力は3つ――「互換性」「大容量」「著作権保護」
iVDRの魅力は「互換性」だろう。リムーバブルHDDは従来からあったが、それまでのモデルはメーカー独自のもので、メーカー間の互換性はなかった。iVDRは標準規格のため、同じタイプのカートリッジであれば相互互換性を保ったまま利用できる。大容量という点も魅力の一つだろう。現在最も大容量の光学メディアはBlu-rayだが、2層でも50GBと心許ない。だがiVDRカセットなら現在500GBの製品が登場している。
PC周辺機器の規格として登場したiVDRだが、どちらかというと注目されているのは著作権保護機構を加えた「iVDR-S(iVDR-Secure)」の方かもしれない。
iVDR-SはiVDR規格に「SAFIA(Security Architecture For Intelligent Attachment device)」と呼ばれる著作権保護技術を搭載したもの。SAFIAを搭載したことで、地上デジタル放送などの著作権保護がかかったデータをコピーまたはムーブできる。
PC周辺機器としては、アイ・オー・データ機器がiVDR miniディスクを外付けリムーバブルHDDとして使えるUSB2.0対応のiVDRアダプターを販売していた(現在は販売終了)。現在ではiVDRおよびiVDR-S対応の「RHDM-US/E」をラインアップしている。
家電製品としては、日立コンシューマエレクトロニクスの薄型テレビ「Woooシリーズ」がほぼ全モデルでiVDR-Sカセットに対応。内蔵HDDに録画したデジタル放送をiVDR-Sカセットにダビングしたり、直接iVDR-Sカセットに録画することも可能になっている。そのほか、三洋電機もデジタルチューナー「repoch」にiVDR-Sを採用している。
前出の「RHDM-US/E」はアイ・オー・データ機器のデジタルチューナー製品で録画した番組をWoooシリーズなどのiVDR-S対応製品で再生したり、その逆も可能になっている。
Wooo UT32-XP800 (32)
登場時は割高感の強かったiVDR/iVDR-Sだったが、普及しつつあるためか、最近では比較的手ごろになりつつある。PC本体・周辺機器メーカーや家電メーカーの参加が少ないのが気になるところではあるが、将来的な展開も期待できるメディアのひとつと言える。