往年の名モデルのスタイルそのままに
真っ赤なボディが目を引くカフェレーサー
まずロイヤルエンフィールドというメーカーの歴史からご紹介しましょう。1851年イギリスにて誕生したメーカーで、バイクの製造を手掛けるようになったのは1901年から。その後、1955年よりインドでライセンス生産が開始。15年後にイギリス本社が倒産しましたが、以降もインドで生産が続けられ、現在に至ります。ロイヤルエンフィールドの特徴は、そのクラシカルなエンジンとスタイルです。ここ何十年かでバイクは大型化が進み、排気量のみならず、剛性アップを目指してフレームやフロントフォークなども太くなってきました。しかしロイヤルエンフィールドは、現代の環境に合わせたフューエルインジェクション仕様のエンジンもありますが、基本的な構造は50年以上もほぼ変わっていないのです。変わらなかったからこそ手に残ったノスタルジックなロイヤルエンフィールド。「真なるクラシックバイク」と呼ばれる由縁はここにあります。
今回ご紹介するコンチネンタルGTは、1965年にデビューした同じモデル名のリバイバル版。当時のモデルと見比べると、ほとんど変わっていないと言っていいほど酷似している今回のコンチネンタルGT。カンタンな言葉のように聞こえるかと思いますが、最低限のブラッシュアップで当時のスタイリングそのままにドロップするというのは本当に難しいこと。
この内容だけを見れば、まるでロイヤルエンフィールドが“世界の進化から取り残されたメーカー”であるかのように思われるやもしれませんが、決してそういうわけではありません。確かにモーターサイクルの世界の最先端でしのぎを削っていたメーカーではないので、スタンスを変えることなくその姿を保ち続けられたのは、インドという国に根ざしていたからでしょう。
クルマと違い、バイクは一部の例外を除いて実用性を求められない趣味の乗り物です。大型バイクともなれば、なおさら。そんな実用性度外視の乗り物ですから、開発モデルにはその国の風土や国民性、文化などが自然と投影されています。ハーレーだとその大きなスケール感、BMWだとドイツらしい質実剛健ながら未来を見据えているところ、ドゥカティだとスポーツバイクとしての艶っぽさ、などなど。このロイヤルエンフィールドは、大陸を走破する能力は求められていないことから、中距離を快適に走れる仕様とされています。そして、必要以上に進化していない分、庶民でも買い求めやすい価格でもあるわけです。またコンパクトなサイズ感は、日本人向けでもありますね。
さて、このコンチネンタルGTですが、スタイルはずばりカフェレーサー。初代コンチネンタルGTもカフェレーサーブーム全盛期の1960年代に登場したという背景もあり、今回のリバイバルは文字どおり“復活!カフェレーサー”なわけです。初めてこのメーカー名を知った方にとってはインドという国のイメージが強く印象づいたかと思いますが、バイクだけを見れば間違うかたなきブリティッシュ カフェレーサーに他なりません。
そんなカフェレーサー スタイルのコンチネンタルGTですが、カフェレーサーと言えばタイトなポジションとして知られます。はたしてその乗り味は? という流れで、インプレッションへと進みましょう。