ハウスメーカーの見学施設にはどんなものがある?
ハウスメーカーの見学施設というと、まず最初に思い浮かぶのが、住宅展示場のモデルハウスです。しかし、モデルハウスを見学しただけでは、その会社の建物の特徴はもちろん、他の会社との違いが今ひとつピンと来ない、なんていうこともよくあるはずです。そこら辺はハウスメーカー自身がよくわかっていて、だからそれ以外に様々な見学施設を用意しているのが一般的です。大抵の会社は、ショールームというものを用意しています。そこには構造などに関する詳しい説明が用意され、建材や設備なども実物で展示されています。さらに自社で工場を持つハウスメーカーでしたら、生産ラインの見学会なども行っています。工場に併設して、構造体はもちろん、住宅に関する様々な技術や性能を体感できる設備などが用意されているケースもあります。
一方、各地域の規模が大きくない会社では、工場はおろか、モデルハウスを持たない会社もあります。しかし、そうした会社であっても、住宅の建築現場などを見学施設として活用しているケースもあります。このように、ハウスメーカーではモデルハウスでは把握しづらいことを補完するため、手を変え品を変え様々な機会を用意しようとしているのです。
さて、私は先日、奈良市にある大和ハウスの総合技術研究所と奈良工場を訪れる機会がありました。大和ハウスは、プレハブ住宅の元祖ともいえる「ミゼットハウス」(勉強部屋)を開発した企業であり、最近は「ジーヴォΣ(シグマ)」という新商品を発売した、住宅業界を代表する企業です。
研究所や工場も見学施設に!
まず、総合技術研究所についてご紹介しましょう。ここは、大和ハウスの戸建て住宅や賃貸住宅、さらには商業施設など様々な建物の研究開発を行っている場所。もちろん、そうした施設には立ち入れませんが、ここは見学施設もあって、住宅に関する様々な知見を得ることができます。例えば、前述した「ミゼットハウス」や、「パイプハウス」(この建物が大和ハウスのそもそもの初の商品)の現物が展示され、住宅の歴史を知ることができます。さらにいうと、大和ハウスの創業者である石橋信夫氏の記念館も併設されています。
中でも、皆さんにとって参考になるのが、大和ハウスの様々な技術や取り組みについての展示コーナー。「ジーヴォΣ」の制震デバイス(地震の揺れを建物に伝わりにくくする技術)などの説明ブースをはじめ、スマートハウスや地震体験コーナーなどもあります。
今回の訪問で最も感心したのが、「快適防音室〈奏でる家〉体験」に関する説明でした。ここでは、通常の防音を高める工夫のほかに、独自に開発した音楽を心地よく聴ける空間づくりの取り組みなどが紹介されていました。大和ハウスが様々な角度から、住まいの研究をしていることがよく理解できました。
次に奈良工場ですが、この工場は大和ハウスの部材などを生産しているのですが、近年、工場の建物や生産設備の刷新に取り組んでいます。つまり、国内の住宅生産設備として最先端のものが揃いつつあるのです。
中でも特徴的なのは、工場のエネルギーマネジメントシステムです。スマートハウスを構成する要素としてHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)がありますが、その工場版としてFEMS(ファクトリーエネルギーマネジメント)があり、それをいち早く取り入れているわけです。
ちなみに、ここにも戸建住宅専用体験施設「住まいまるごと体験館」があります。次のページでは大和ハウスが最近、オープンした次世代型の見学施設をご紹介します。