田舎暮らし/田舎暮らし・スローライフ情報

田舎の真相/古民家暮らしは理想の生活なのか(1)

がっしりした大黒柱と梁、高く広い空間が作り上げるゆったりとした居住空間。夢いっぱいだったはずの古民家(再生)での田舎暮らし。しかし実際に探し、暮らしてみると……。田舎暮らし十数年のガイドが明かす、誰も教えてくれない田舎の真相がコレだ!

堀江 康敬

執筆者:堀江 康敬

田舎暮らしガイド

田舎暮らしの拠点として、今だに人気のある古民家(再生)暮らし。がっしりした大黒柱と梁、高く広い構造が作り上げるゆったりとした居住空間……。しかし実際に探し、暮らしてみると?

古民家は、住み継いできた先人のライフスタイルや、風土に根ざした地域独自の家屋。ノスタルジーだけでは、その素晴らしさを使いこなせません。古民家暮らしのメリット・デメリットを比較しながら、そのチェックポイントを探ってみましょう。

メリット:じっくり探せば破格の数百万円台の古民家も

画像はイメージです

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田舎暮らし向けの古民家物件を取り扱う、情報サイトをチェックしてみました。
・数世帯が点在する集落に建つ山里の古民家(畑付き) 198万円
・日曜大工でリフォームが楽しめる茅葺き古民家(瓦葺き付属建物付き)298万円
・蔵付きリフォーム済みの静かな山村に建つ古民家(土蔵付き) 380万円
・山からの水を敷地内に引込んだ改造済古民家(水車付き)470万円

魅力的な古民家が、破格の値段でラインナップされています。家庭菜園等が楽しめるゆったりとした敷地の物件が格安で手に入るのは、田舎暮らしを夢見る人にとっては期待に胸が膨らみます。

デメリット:意外とかかってしまうメンテナンス費用

一般の中古住宅とは違い、築年数の古い古民家は暮らしていく中でも様々なトラブルが想定されます。
・シロアリ&雨漏り/何しろ50年程前に建てられた古い木造家屋。どこかがヤラレテルとの覚悟も必要です。
・家屋自体の傾き/地盤変化や経年による腐食などで、建物全体の歪みは避けられません。
・耐震性/法律で定められた基準を満たしていない物件もあり、補強が必要なケースもあります。

格安だからと勢いで購入してしまうと、余計な出費が必要になる場合があります。一般の中古住宅と違い築年数を経た古民家は、暮らしていく中でも様々なトラブルが想定されます。

メリット:環境保全+昔ながらの佇まいが体感できる

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歴史を経て美しく頑強になった梁や柱を続けて活用することは、自然保護・環境保全に貢献すること。また、黒光りする梁や柱、茅葺きなどの屋根、土壁や漆喰など、日本の伝統的な木造建築が持つ、懐かしさや温もりのある風情が味わえます。

デメリット:夏の快適さは冬の厳しさの裏返し

古民家暮らしには、寒さ対策が必須。日本の家屋は「夏を持って旨となす」(徒然草)とあるように、日本家屋の特徴は、夏は風通しが良く涼しく過ごせるようにできています。しかし、古民家独特の通天然素材や深い庇、高い天井等が、冬の寒さや暗さを作り出すことを十分理解しておく必要があります。

メリット:先人の知恵が造り出した安心住宅

古民家は、自然界に存在する素材を壁や柱、塗料などに使っています。シックハウス症候群など新建材から出る有害物質で悩まされることもなく、自然素材ならではの質感や香り、肌触りの良さによる癒し効果など、健康的な暮らしが実現できます。それに、太くて丈夫な古材の骨組みに包まれる安心感も捨て難いですね。

デメリット:タイム&マネーにゆとりが必要

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まず物件探しからスタート→周辺環境・建物状態のチェック→メンテナンス計画→修繕工事など、実際に入居できるまでには長い時間を要します。また、暮らし始めて分かる追加の事費が生じることもあるため、費用面でのゆとりも必要です。

先人たちの知恵に現代のライフスタイルを加えることで、古民家の良さと快適な暮らしを得ることが可能になります。焦らずじっくりとしたスタンスで望むのが実現のポイントのようですね。

次回は、第二弾「古民家物件の探し方」をピックアップします。お楽しみに!
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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