家計簿・家計管理/家計管理の基本

台風など災害から家計を守る!イザというときの知識

災害から家計を守るには、保険や緊急予備資金、防災グッズの確保といった自分でできることもありますが、甚大な被害に遭った場合は公的な支援も受けることになるでしょう。正しい情報をしっかり知っておくことで、負担が軽くなることもあり、また必要以上の借金を背負うこともなくなります。災害時でも家族を守り、家計を安定させる為に今からでもやるべきことをお伝えします

二宮 清子

執筆者:二宮 清子

家計簿・家計管理ガイド

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台風や豪雨、災害大国の日本

秋にかけて日本各地で台風や豪雨による被害が発生します。テレビやネットでその状況を目にする度に、被災したらどうやって生活すればいいのかと心配になる方は多いでしょう。日本は阪神淡路大震災や東日本大震災など甚大な災害を経験してきたこともあり、被災者に対しての支援制度がずいぶん整ってきました。

改めて、家計を守る為にもどのように経済的リスクに対し備えをしていけば良いのか?更にもし被災した場合にはどのような支援があるのか、家計管理という面からお伝えしていきます。

普段から心掛ける備えとは

緊急予備資金として預貯金の確保
家族や家計を守るには緊急予備資金といった預貯金を持っておくことがとても大切です。保険でカバーできないものや、保険金が給付されるまでの一時的な現金はどうしても必要になります。

金額の目安は生活費の半年分です。
一か月の家族4人の生活費が30万円なら、180万円です。約200万円あると安心でしょう。もし被災しても半年あれば、十分とは言えなくとも生活を立て直すことができるようになるのではないでしょうか。この200万円という緊急予備資金は、住宅取得の頭金や、子どもの教育費とはわけて管理します。家族が路頭に迷わないように、何が起きても大丈夫といった貯蓄を持っておくと安心ですね。

しっかりとした保険に入る
もし、東日本大震災等の大きな災害に遭った場合、預貯金だけで被害をカバーすることは難しくなります。住宅ローンを抱えていた場合は、生活再建をするのはとても厳しく二重ローンの問題も起きてきます。

火災保険や地震保険は高いから入らないとケチるものではなく、家を持つ以上必要な保険です。火災保険も地震保険の同じですが、建物にだけ保険をかけているケースを多くおみかけします。もし、大雨で自宅が浸かった場合、建物の被害より、家財道具の被害の方が大きくなります。地震でも最近の家は耐震性が優れていますので、建物より家財道具のほうが壊れるリスクが高くなります。従って、火災保険・地震保険に入る場合は建物と家財と両方にかけることが重要です。

台風がくる直前にできる備え

火災保険の内容確認
水害や風災で自宅に損害が出た場合、火災保険でカバーすることができます。どこの保険会社でどんな補償内容の火災保険に入っているのか改めて確認しておきましょう。また証券を手元に置き、代理店や保険会社の連絡先も確認します。

片付ける前にまずは写真を撮ろう!
もし自宅に被害を受けたら、片付ける前に被害状況を写真に撮って下さい。破損した場所だけでなく、家全体の写真、表札があれば表札も撮ります。損害保険はどれくらい被害を受けたのかが明確であることが保険金を支払ってもらうポイントとなります。写真を撮る前に片付けたり補修してしまうと、保険会社に実際の被害を伝えることができませんので、保険金が減額される可能性があります。携帯のカメラで良いのでしっかり写真を撮っておきます。

現金や食料品、防災グッズ等の確保
電気・ガス・水道といったインフラが長期間止まってしまったら、色んな物を買い足す必要も出てきます。しかし、ATMや電子マネーは当然使えなくなりますのである程度の現金は持っておきましょう。他にも食品や飲料水、防災グッズの確保をしっかりしておきます。以下は我が家の防災グッズです。

ランタン・・・懐中電灯と違い、置き型なので便利です。キャンプ用品は災害時にも
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赤い花の下はアロマキャンドル

便利なものが多いですね。

アロマキャンドル・・・アロマキャンドルは比較的サイズも大きいモノが多いことと、香りやデザインも素敵なモノが多い為、インテリアとしても重宝します。細いローソクと違い、寸胴で安定感があるものがほとんどですので倒れる心配は少なくなります。(火の管理はしっかりと!)

カセットコンロとガスボンベ、着火マン・・・電気・ガスが止まった時の為にもとても大切です。鍋があればご飯も炊けます。

インスタント食品
・・・多めに買っておいても、夏休みに消化できるので無駄にはなりません。

飲料水・・・ミネラルウォーターを買うだけでなく、やかんなどに汲んでおくことも大切です。

生活用水・・・念のため、お風呂に水を貯めておきましょう。(赤ちゃんがいる世帯は蓋をして十分気を付ける事)

被災した場合の支援策

住宅ローンの取り扱いについて

災害で住宅が全壊した場合、収入が減った場合のローン返済ですが、住宅が被害を受けて、住めなくなったとしても住宅ローンは残ります。住宅ローンと新しいアパートの家賃、生活費と考えると支出が増え払い続けることが困難になることは容易に想像できます。通常、住宅ローンの返済が滞ると滞納となってしまい、2~3カ月滞納すると遅延損害金の請求とともに、競売などで法的な手続きを取りますよ!といった流れになりますが、災害の被災者といった事情があり支払いが困難な場合は相談することにより滞納を取り消すなど、各金融機関が対策を取ってくれます。

<返済期間を延長し、返済額を引き下げる>
返済期間を延ばすことで、毎月の返済額を軽くすることができます。しかし、その分金利負担は増え、総返済額が増えます。

<元金返済を据え置く>
生活が安定するまでの間、金利だけを支払い、元金の返済を据え置く(返済しない)方法もあります。フラット35の住宅金融支援機構では、東日本大震災の時、元金返済の据え置き期間を3年から5年に拡充しました。(罹災割合による)

住宅金融支援機構では災害により住宅が損害を受けた場合に限らず、病気やリストラなどで返済が難しくなった場合もこのような対応策が準備されています。民間の金融機関ではそれぞれ個別対応になりますが、返済が難しくなった場合は、ただ滞納させてしまうのではなく、まずは相談する事が大切です。

個人版私的整理の活用(二重ローンを防ぐ)

被災者には各金融機関で被災者の為の特別な低金利の災害復興住宅融資等が準備されています。しかし、住宅ローンが残っている状態で、更なる借入れとなると負担が大きく二重ローン問題となります。

通常、借金の返済が難しくなると任意整理や自己破産という流れになり、資産も全て処分されますので裸の状態になります。さらに自己破産の場合、信用情報機関(通称ブラックリスト)にのりますので約5~10年程は住宅ローンはもちろん車のローンやクレジットカードを作る事もできなくなります。また公的な仕事にも就けないなどのデメリットもあります。

しかし、被災者の場合は「個人版私的整理」といって内容は自己破産と同じですが、ブラックリストには載らない、最大500万円は手元に残すことができるなど、優遇措置があります。

こういった制度があったにも関わらず、周知されていなかった為に二重ローンで必要以上の負担を抱え苦しんでいる被災者が増え問題になりました。

その他の公的支援制度

・経済、生活面の支援
・住まい確保、再建のための支援
・中小企業、自営業者への支援

各自治体には、実際に現金を受け取る「給付」や、無利子や低金利でお金を借りる事ができる「融資」制度、税金や授業料の「軽減や免除」といった様々な支援があります。普段から自治体の広報等で確認しておきましょう。

大きな災害に遭うケースは割合的には少ない為、なかなかこういった支援が知られることはありませんでしたが、保険や緊急予備資金といった自分でできるリスク対策を少しずつでも始めながら、更にこのような公的な支援もあるということも知っておく事だけでも、災害に対する不安や恐れから少しでも解放されるのではないかと思います。

家計を守るにあたり、このような支援策をどの位知っているかという事も重要になります。
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