保健師/保健師とは

栄養と料理 楽しみながら正しいものが分かる雑誌

現役の保健師さん、保健師を目指す人、どちらにもためになる雑誌やWebをご紹介します。第2回目は一般の読者はもちろん、保健や医療に携わる人たちからの信頼も厚い「栄養と料理」です。

西内 義雄

執筆者:西内 義雄

保健師ガイド

確かな知識を楽しく学ぶ

保健師として働いていると、さまざまな場面で食と栄養に関する質問を受けます。母子なら赤ちゃんの離乳食に関して、成人なら生活習慣病対策に有効な食事の取り方。高齢者なら熱中症の水分補給方法などがありますが、なかには

「昨日テレビで○○がダイエットに効くといってたけれど、本当なの?」
「○○というサプリさえ飲んでいれば元気になるっていうじゃない!?」

との噂話的なものまで聞かれます。

そんな時に、私は栄養士じゃありませんからと逃げていては信頼も揺らいでしまいます。せめて基礎的な知識は身に付けおくようにしたいものです。かといって、保健師の勉強以外に難しい栄養学の専門書をひもとくのは大変です。もっと気軽に、日常の中で確かな情報を得るためのツールとしておすすめしたいのが、栄養と料理です。

何が正しいのかが分かる

栄養と料理は1935年創刊の月刊誌です。表紙の写真を見ると一般的な料理本のように見えるものの、おいしさだけでなく、栄養や健康に徹底してこだわっています。一般の女性向け料理本にありがちな、流行や見た目、ファッション感覚重視の路線と違い、しっかりした栄養の視点が生かされているところが大きな特長です。

その秘密は、発行元が数多くの栄養士、管理栄養士を排出している女子栄養大学の出版部であること。編集者に栄養学を学んだ経験のある人が多いことがあげられます。

編集部に寄せられる問合せも「料理法が分からない」や「味付けのヒント」を求めるものだけではなく

「配膳はどうするのが正しいの?」
「血糖の上昇を抑える食材や食べ方は?」

栄養と料理編集長、監物南美さん

栄養と料理編集長、監物南美さん

など、本当に正しいのは何なのかを確認するものが多く、それを提供できるスキルを持ったスタッフが作っていることも見逃せません。でも、

「単に正しさだけを追求するガチガチのものではなく、楽しんでいただける記事を提供したいとの想いをもって作っています。一方で、食関係の正しい知識もご提供するために、専門家の先生方も根拠に基づく情報をご執筆くださっています」

とは、同誌編集長の監物南美さん。
忙しい合間をぬって、ツイッターからも毎日情報発信しているので、こちらも注目してくださいとのことでした。

栄養情報のとらえ方に注目

同誌のモットーは「食は生命(いのち)なり」です。これは女子栄養大学創始者の香川綾氏が遺した言葉でもあります。

読者層はアンケート結果を見ると圧倒的に一般の主婦が多いといいます。これは主婦層が本を購入して読むのに対し、栄養士など有資格者は勤め先(自治体や企業)が本を購入し、回し読みすることが多いために起こる現象のようです。その証拠に、私の知り合いの保健師、看護師の方々にもこの本の認知度は高く、栄養関連の情報を得るために読んでいるという声がかなりありました。

さらに詳しく調べると、栄養士、管理栄養士、保健師、看護師は、患者さんや住民の皆さんからの質問にわかりやすく答えるために読んでいるケースが多いようです。

保健師にすすめたい記事

では、保健師や保健師を目指そうとしている人はどこに注目しながら読めばいいのか?

「保健師など、病気の一次予防に携わっている専門職の方にというのなら、佐々木敏先生(東京大学)の連載『ズバリ読む栄養データ』があげられます。日本の栄養疫学の権威である先生が論文をしっかりチェックしながら、ひとつのテーマについてどこまで事実として分かっているのかを毎回丁寧に解説していただいていますので、とても役に立つものと思います。また、2015年は食事摂取基準や食品表示が変わりますので、そのあたりの確かな情報にも注目していただきたいです」(監物さん)

食事摂取基準や食品表示は栄養士や管理栄養士だけが理解していればよいものではありません。実際、保健師として活動していると、保健指導の場で何度も栄養について確かな情報を求められるものです。なので、最低限の知識として基本は抑えておくべき。かといって、難しい教科書を読むよりは、楽しく読めるもの。それでいて確かな情報を提供してくれるものが必要なわけで、栄養と料理はそれにピッタリな雑誌だといえるでしょう。

最近の特集を見てみると

保健師にすすめたい理由をもう少し触れると、ここ数年の同誌は特集内容が健康と密接に関わる言葉が並んでいます。今年の号だけでも

1月号 免疫力アップ
2月号 うす味じゃない、減塩
3月号 腸すっきり! 便秘は治る
4月号 朝ごはん&睡眠の悩み
5月号 おなか集中 ダイエット
6月号 カルシウムをとる! 食材&料理事典
7月号 血管の若さを保つ!

というように、保健指導の場で役立つものが多いからです。また、ページ数の割に高額になりがちな専門誌と違い、手軽な価格で購入することができるのもいいですね。

ちなみに、同誌の扱いは書店により異なっているようで、料理、健康、女性のいずれかの分類で分けられていることが多いようです。

(雑誌データ)
発行元:女子栄養大学出版部
発行部数:15万部
発行日:毎月1回1日
価格:700円(本体648円)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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