電子書籍サービスが終了すると購入した電子書籍はどうなるの?
これまでに、楽天が運営していたRabooやローソン系のエルパカブックス(電子書籍)など、大手の会社が運営する電子書籍サービスが終了しています。
書店が終了するたびに、購入した電子書籍はどうなるの?読めなくなるの?という話が浮上します。欧米ではソニーの電子書籍サービスが終了した際はkoboへ引き継ぎが行われるといった対応も有りましたが、日本では電子書籍サービスが終了した場合、どうなるのでしょうか?
現在の日本では
- サービス運営元が提供する他サービスのポイントを付与(Pontaポイントや楽天ポイント)
- 他電子書籍サービスが乗り換えキャンペーンと称して、終了するサービスで購入した電子書籍代金分のポイント付与(eBookJapan)
その不利益に対して、電子書籍以外で使えるポイントで購入分の補填を受けるということになります。
今後、利益の出ていない電子書籍サービスがどんどん終了していくことが予想されますが、電子書籍サービス運営元が電子書籍以外に使えるポイントを提供していない場合は購入した電子書籍はそのまま読めなくなり、なにも補填されないことが想定されます。
まとめると、電子書籍サービスが終了すると
・電子書籍は端末にダウンロードしていなければ読めなくなる
・端末にダウンロードした電子書籍を消してしまうと読めなくなる
・他のサービスで使えるポイントである程度補填されることもある
・他の電子書籍サービスが救済キャンペーンを実施する場合もある
になります。
しかし、結局、買った電子書籍を読み続けることはできません。
電子書籍の購入者は、なににお金を払っているのか?
以前エルパカブックスが終了した時にもAll Aboutで書きましたが、現在の電子書籍サービスは「サービスが継続する期間に限定した読書権」、つまりは「レンタル料」にお金を支払っているのです。しかし、その点をわかりやすく明示しているサービスは現状ありません。それこそが、サービス終了に伴う混乱の一因になっていると、ガイドは考えます。多くのユーザーは購入した電子書籍はずっと読めるものだと思っています。サービス終了によって、購入した電子書籍が読めないのであれば、紙の本の価格と同じ値段ではユーザは納得しません。
「レンタルであるならば、紙の本より大幅に安くすべき」
というユーザーの意見はユーザー視点からすれば至極まっとうな話でしょう。
今後、あくまで「レンタル料」として紙の本の購入よりも大幅に安い金額を設定するか、そうでなければ一つのサービスが終了しても他の電子書籍サービスに移行できる仕組みを提供しなければ、電子書籍からユーザー離れが進む一方になってしまうのではないでしょうか。
電子書籍業界は商品流通や仕組みを提供する取次や版元を含めて、改めて電子書籍というモノの価値を定義する必要があります。
そもそも他サービスへ移行可能なのか
現時点で日本国内において、サービス終了に伴って他サービスへのコンテンツ引き継が行われた事例はありません。そのため、「引き継ぎは技術的に難しいのでは」と考える人がいるかもしれません。しかし、前述したとおり、欧米でソニーのサービスが終了した際はkoboへ引き継ぎが行われ、ユーザーは購入した電子書籍を継続して読むことが出来ました。このことから、技術的に引き継ぎが不可能ではないことがわかります。
今まで日本の電子書籍サービスが終了した際のポイント補填には、引き継ぎが技術的な問題ではなく、もっと違うところでの問題だったのではないでしょうか?
最後に電子書籍サービスを選ぶ上で気をつけること
最近、「電子書籍サービスが急に終了して困るということがないように、電子書籍サービスを選びたい」という問い合わせをよく受けます。公平性の観点からこのサービスだと大丈夫というのを言いづらいのですが、見極めのポイントを3つ上げると
- テレビCMを行っている
- 周りの人に電子書籍サービスといえば?と聞いてサービス名が出てくる
- 万が一終了してもいいように電子書籍以外にもつかえるポイントを発行している
今後、電子書籍サービスが終了する場合でも、ユーザーに不利益のない形で終了していただきたいものです。特に買い直しの手間がかからないように、一度購入した電子書籍を他の電子書籍サービスに引き継げるように、電子書籍業界が率先して対応を行っていただきたいと思います。