iPhoneとアプリの組み合わせで、デスクライトがスキャナ代わりに
そして、この「SnapLite」最大の特長というか、本来は、デスクライトとしてよりも、こちらの機能の方がメインなのですが、ライトの光源の上部に台があって、そこにアプリを起動した状態でiPhoneを乗せると、白色光100%の照明に切り替わり、電源ボタン手前のリスのアイコンが光ります。この状態で、ライトの前に撮影したいものを置き、「SnapLite」本体のリスのアイコンをタッチすると、iPhoneのカメラ機能が撮影してくれます。撮影されたものは、自動的にトリミングや台形補正されて、写真アプリに保存されます。つまり、この製品は、iPhone用の撮影台なんですね。しかも、「ScanSnap」のPFUですから、撮影したものの自動的な加工が見事。例えば、CDジャケットなどを撮影すると、台形補正とトリミングで、正方形のジャケットが見事に保存されます。つまり、ちょっとしたスキャナとして使えるんです。面白いのは、iPhoneのカメラ機能を使って、しかもデスクライトとしての機能を撮影用の照明として使って、ほとんどカメラの撮影台というか、昔あったコピースタンドのような環境を提供しながらも、撮影した時に最もキレイに読み取れるのは、四角いものなんですね。CDジャケットとか、本の表紙とか、子供が描いた絵とか、ランチョンマットに乗せた食事とか、お菓子などのパッケージとか、そういうものだとそれこそ、同じPFUの非接触型ドキュメントスキャナ「ScanSnap SV600」よりも色やコントラストに関しては、よりキレイにデジタル化する事が出来ます。A4サイズ一杯程度なら、ほぼ均等に照らしてくれるLEDライトの光の広がり具合も良く出来ていると思います(そのために、光源が目に入りやすい仕様になってしまうのは痛し痒しといったところでしょうか)。
CDジャケットやお菓子などのパッケージに関しては、iPhoneの設置位置と照明の角度が良いようで、プラケースに入れたままだったり、光沢のあるパッケージでも、反射をあまり気にせずに撮影出来ます。反射が目立つと思ったら、大体の場合、その部屋の天井からの照明の場合が多いので、部屋を暗くしたり、「SnapLite」の前に立って、上からの光を自分の体で隠したりするだけで、かなり反射を防ぐ事が出来ます。このあたりのコツは「SV600」と同じですね。ライトが十分に明るいので、周囲は暗いくらいの方が、上手くいく事が多いようです。
ラフにもマニアックにも使える細やかな仕様
反対に、不定形のものは、あまり得意ではありません。このあたりも、ドキュメントスキャナのPFUらしいところですね。こんなに従来のスキャナから離れた製品を作っても、やはりドキュメントスキャナとして便利なんです。といっても、基本はiPhoneのカメラですから、工夫次第で様々なものを撮影出来ます。何といっても、iPhoneを固定された台に乗せて撮るのですから手ブレしませんし、デスクライトの、ホワイトバランスの調整があまり必要ではない高い色温度の照明もあります。なので、条件的に撮影に失敗する事がほとんどないのです。あとは、撮る物の置き方(つまり構図ですね)とか、設定とかで調整すれば、かなり幅広く使えそうです。何といっても、四角いものだと赤い光の枠で示される撮影範囲内であれば、適当に置いてもちゃんとその四角の枠を感知して、台形補正してクリッピングして表示してくれます。iPhoneも台の上にさえあれば、少し曲がっていても問題ありません。ポンと乗せて、ポンと置いて、シャッターボタンを押せば後は自動的にどうにかなるというのが、「SnapLite」の最高の使い方だと思います。子供のプリントとか、ちょっと人に見せたい雑誌のページとか、気に入った製品のパッケージとか、レシートとか名刺とか、世の中には四角い物が沢山あって、そういう物は普通に撮影するより、「SnapLite」で撮る方が、確実にキレイに見やすく撮る事が出来ます。この「何も考えずに使って失敗しない」という感覚は、とても有り難いと思うのです。
シンプルな構造と設計の割りに、細かい機能も実は結構用意されていて、例えば枠に入り切らない、つまりA4より大きなモノに関しても、まず片側を撮影し、続いて残りの部分を撮影すると、自動的に合成して一枚の画像にしてくれる機能もついています。子供の絵なんか、大体A4より大きいし、雑誌などに付いてる折り込みの地図なんかも、しっかりと一枚の画像として保存出来るわけです。他にも、自動トリミングや台形補正、色の補正などのオンオフが出来ますから、スキャナとしてよりカメラの撮影台として使いたい場合などは、そのあたりの自動補正機能を切ればオッケー。
ガイド納富は、色はiPhoneのカメラのそのままの方が好きな場合が多いし、色やコントラストは他の写真アプリなどでいくらでも補正出来るので、普段はオフに設定しています。トリミングや台形補正は、それが得意な物をメインに読み込ませているので普段はオンにして、不定形な物やフィギュアのような複雑な立体物の場合はオフにしています。スキャン結果は、この記事内にもいくつか写真を載せておくので、ご確認下さい。こればかりは好き嫌いもあるし、仕事として使えるレベルかというと、iPhoneのカメラの解像度やレンズ性能を超える事はないので、人それぞれに判断があると思います。ガイド納富は、本の表紙やCDのジャケットは、仕事(印刷の素材として)で使えるんじゃないかなあと思っています。
ガイド納富の「こだわりチェック」
もちろん、良い事ばかりではありません。これはガイド納富の使用環境や趣味が加味された上での話ですが、撮影するには、やや照明が明る過ぎるような気がします。名刺などを撮影した時、白い部分が飛んでしまう事が多いのです。もちろん、ややハイキー目に撮ると、なんとなくハッピーな感じになる、という写真の法則のようなものもあるので(ガイド納富の記事のモノの写真も、やや明るめに撮る事が多いです)、一概に悪いとはいえないのですが、立体物などを撮った時の影の濃さなども気になる所です。ただ、元々、このデスクライトには調光機能が付いているのだし、ソフトウェアで解決出来る問題だと思います。眩しさを避けるために作ったトレーシングペーパーのシェードを付けるだけでも、デスクライトとしても使いやすくなり、スキャナとしても反射やハイコントラストが押さえられました。ガイド納富の手作業で解決出来る問題ですから、そのあたりはすぐに改良されると思います。あとは、ガイド納富のように仕事している間中、ライトをつけっぱなしで使っていると、やや発熱が気になるというくらいでしょうか。ガイド納富が現在使っているいくつかのLED照明に比べると、やや発熱量が多いような気がします。比較的顔に近い所で使う照明なだけに、これから夏に向けて、顔が熱くなるのは避けたいなあと思うわけです。また、付属のACアダプタのデザインも、もう少しカッコいいと良かったなあと思っています。コンセントに差しにくい形状も含め。
それはそれとして、基本、デスクライトとして使って、ちょっと人に見せたい自分で保存したいという、わざわざスキャナを使うほどでもないちょっとした事を、ガンガン撮影していくという使い方だと、とても楽しく使えるツールです。そして、iPhoneで写真に撮る事と、カメラで撮影する事と、スキャンする事の役割の違いを実感してもらって、スキャナやデジカメにも目を向けてもらえたらなあと思います。ともあれ、メモとかノートの切れ端とかそういうのは、サッと撮ってパッと元は捨てる、といった作業に体を慣らすためのツールとしても有効ですし、自分に、そういうクセを付けてしまおうとガイド納富は目論んでいます。
<関連リンク>
・PFUの「SnapLite」専用ページ。
・「SnapLite」にはブログもあります。
・「SnapLite」は原宿のAssistonで実際に試用して購入する事が出来ます。
・「SnapLite」はAmazonで購入できます。