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プログラムの振付けって? ~振付け作業編~(2ページ目)

5月。来シーズンのプログラムを振付けはじめるころでもあります。そこで、振付け作業というものについて、紹介します。

執筆者:長谷川 仁美


プログラムを作るのに、いくらかかるの?

ウィアー

コスチュームもポジションも美しい、2007年中国杯でのジョニー・ウィアー

振付けの費用ですが、1つのプログラムで数万円から数十万円と、振付師や選手のレベルによってさまざまです。

また、プログラムに合わせたコスチュームも必要になってきます。こちらも、親御さんが手作りするケースから、有名デザイナーにオーダーする場合までそれぞれですが、数万円から数百万円まで、選手によっても変わってきます。伊藤みどりさんの衣装を浅田真央選手が譲り受けて着用したことはよく知られていますが、先輩のお下がりを着ることが伝統のようなものになっているスケートクラブもあるようです。

振付けとコスチューム。1つのプログラムの形を作るためだけでも、かなりの費用がかかることになります。

 


「自分のプログラムにする」って?

どんなに素敵なプログラムを振付けてもらって、綺麗なコスチュームをオーダーしたとしても、それだけでは素晴らしいプログラムにはなりません。スケーター自身がそのプログラムを滑り込んで、自分のプログラムにして初めて、私たちの胸を打つ作品になるものです。

とても感覚的なことですが、「滑り込む」とは、何度もそのプログラムを滑ることで、音楽がなくても滑れるようになり、小さな音も聞こえてくるようになって、その曲、そのプログラムに関して、より深い感覚を自分の中に蓄積していくこと。そして「自分のプログラムにする」とは、そうして蓄積していった感覚と、そのスケーターらしいちょっとした動きの特徴やスケートのリズムが相乗して、そのスケーターにしかできないプログラムに仕上げていくことです。

試合の中でその選手が置かれている状況や、選手自身の思い、ちょっとした間(ま)の取り方や、曲に合わせた表情などすべてが共鳴した、「こういうのを見たかった!」とファンが待ち望んでいたような演技……それが、「滑り込んで自分のプログラムにした」演技です。ソチ五輪での浅田真央のフリー『ピアノ協奏曲第2番』(ラフマニノフ)は、まさにそういう演技でした。

5月下旬。少しずつ新しいシーズンの振付けが始まっています。「あの選手のフリーは、○○○だ」とか、「振付師は、誰それにしたらしい」といった話が漏れ聞こえてくる季節です。プログラムのお披露目はまだ先ですが、そんな情報だけでどんなプログラムになるのか想像するのも、この季節の楽しみのひとつです。
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