本命ラスベガスサンズ、対抗メルコクラウン、大穴シーザーズ・エンターテインメント
いろいろとデータを見てきましたが、やはり日本進出の本命はラスベガスサンズ社と思います。同社は特別な話題性と集客力のあるカジノリゾートの建設に長けており、実績も抜群であることから、東京か大阪、或いはどちらとも決まるにしても、この会社に任せておけば当地での成功は堅いと思うからです。同社はマカオ、シンガポールとも米国企業として初のライセンス取得に成功しています。さらに4つのホテルという、マカオでも群を抜く認可数を得ていることから、裏で行う政府と根回しも強いと想像できます。またバランスシートの健全さから見ても、相対的に巨額の資金を捻出しやすい立場にあります。
一方、メルコクラウン(MPEL)は米国企業ではありませんが、ポルトガル統治時代のマカオ・カジノ王の息子でもあるローレンス・ホーCEOは松井知事と橋本市長を訪問し、40~50億ドルの投資意欲を見せています。
MGMとウィン社も日本進出に積極的で、これら2社はマカオでの出遅れを取り戻すべく、現在同地で2ヶ所目のカジノリゾート建設に取りかかっています。そこに日本進出も加われば、ラスベガス社との差を一気に縮められることになり、何としても進出したいはずと思います。ただバランスシートは厳しい状態であり、資金調達方法が問題です。
大穴はシーザーズ・エンターテインメント(CZR)です。先月に同社社長は松井知事を訪問し、「アジアにないような施設を日本に作る」と意欲的です。実際、マカオには幸か不幸かシーザーズの施設は一つもなく、アメリカで有名な同社のカジノが「アジアで唯一楽しめる場所」ということになりえます。マカオでギャンブルをする中国人にしても、シーザーズで楽しみたいなら日本に来るよりありません。
シーザーズは日本市場で巻き返しを図れるか!?
シーザーズの歴史は古く、同社はネバダ州で1937年に設立されました。現在全米12の州で53ヶ所のカジノホテル(計4万2千室)を所有し、海外にもロンドンなど7ヶ国に進出しています。従業員数は7万人で年間に90億ドル近い売上があり、前述のように資産規模は米国2位です。カジノリゾートは「シーザーズ(写真上)」のほか、多数のブランドがあり、写真下段にあるのはエッフェル塔とミニ凱旋門で有名なラスベガスにある「パリス」ホテルです。カジノ企業としての歴史や実績は米国を代表する一社です。
ただマカオでカジノライセンスを得られなかったことで同社の成長は止まってしまいました。同社はもっと早くに上場し、そこで得た資金でマカオにカジノを建設すべきだったでしょう。先見の明がなかったことは経営上の大失敗と言えます。同社主戦場のラスベガスは2000年以降低成長期に入りました。
ニュージャージー州に「アトランティックシティ」という東海岸を代表するカジノ都市があり、そこにも複数の施設を持つのですが、あまり盛り上がっていない模様です。ニューヨーク市から車で3時間半も掛かってしまい、往復の時間を考えるとなかなか厳しく、泊まりで行くにはラスベガスほど楽しみで満ちあふれていません。業績は最終赤字が続いており、バランスシートは前述のように債務超過です。
このバランスシートから日本事業への投資資金をどう捻出するかとう問題はあるのですが、同社としては、日本進出こそが再生への唯一の賭けであると思います。可能性は低いと思いますが、仮に同社が日本に進出すれば、業績は劇的に回復し、現在低い評価である株価の上昇余地は、5社の中で最大になると思います。
いずれにせよカジノライセンスは限られた枚数、恐らく2枚程度しか当初発行されないと思います。過去の実績と資金計画で最終評価されるものと思われます。
参考:グローバルグロースレポート
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