NISA口座で塩漬けになったときの対処法
日本の株式相場は2012年の年末頃から、「アベノミクス」をテーマに上昇しました。日経平均株価を例にすると、当初は1万円を割り込む水準だった株価が1万6000円程度まで上昇したわけですから、ものすごい勢いだったと言えます。株価チャートにある丸の所が昨年末につけた高値です。2014年5月現在はと言うと、目先の株価は上昇と下落を繰り返しながら、一貫して下落基調にあると言えます。日経平均株価のチャートを見ると、下落基調にあるのが一目瞭然ですね。
株式投資に限らず、投資で儲ける基本は「安い時に買って高い時に売る」です。ですが、私達は、株式市場が盛り上がると投資熱が盛り上がり、反対に株式市場が低迷すると投資熱が冷めがちです。
NISAとは
株式市場が盛り上がっていた2014年1月から始まった制度が、NISA(少額投資非課税制度)です。NISAでは、NISA専用の口座を開設して、株や投資信託等を購入すれば……・毎年100万円を
・最長5年間
・投資総額最大500万円まで
儲けに対して非課税にするという制度です。私もNISA口座を開設して利用しています。多くの方がこの制度を利用されているのではないでしょうか。
しかし、年初から下落基調にある現在のような相場環境では、NISA口座で株を買ったはいいが、現在は塩漬けになっているという人もいるかもしれません。NISAでは、非課税になる点ばかりが注目されがちですが、NISA口座で購入した株や投資信託等は、特定口座や一般口座の株等と損益通算を行えない仕組みになっています。
そこで、NISAで買った株が下がった場合、どう対処したらいいのかを考えてみましょう。
株が下がった時の対処法は3つある
一般的に、株価が損失を抱えた時の対処法としては、次の3つの対処法があります。1.ナンピン
2.塩漬け
3.損切り
NISA株が買った株価よりも値下がりした場合の対処法としても同じですが、どの対処したらよいのでしょうか?それぞれの方法について見ていきましょう。
まだ投資資金に残りがあるならナンピン
NISAでは、1年間に投資できる金額は100万円と決められています。もしまだ投資資金が残っているのであれば、購入金額を引き下げるために、ナンピンを行うことができます。ナンピンとは、買った株の価格が下がった時、さらに株を買い増すことで株の平均単価を下げることです。平均単価を下げられますので、株価が上昇した場合に売りやすくできます。たとえば50万円で買った株が30万円まで下がったとします。30万円で株を買えば、平均単価を40万円にできます。運良く株価が40万円を超えれば、売り抜けることができます。
ただし、底だと思ってナンピンしたのに株価がさらに下落することもよくありますので、ナンピンは慎重に行わなければなりません。ナンピンのつもりが、さらなる損失の拡大につながる恐れがあるからです。
投資資金がないなら塩漬け
ナンピンしようにも投資資金に余裕がない場合は、塩漬けという方法になります。塩漬けとは、損失を抱えたまま株を持ち続けることです。投資資金を眠らせてしまうことに他なりませんので、投資効率の悪い方法と言えます。NISAでは、1年目に100万円、2年目に100万円と言うように、新たに投資枠が発生します。例えば、5年経った時に投資金額100万円以下の場合には、6年目の非課税口座に移管するという方法があります。そうすると非課税での運用期間をさらに延長でき、合計10年まで口座においておくことが可能になります。
損切りしても損益通算はできない
損切りとは、損失が出た株に見切りをつけて売ってしまうことです。ロスカットとも言います。特定口座等であれば他の株の儲けと損益通算を行うことができますし、確定申告を行って損失の繰り越しを行うことができます。しかし、NISAの場合には損益通算できませんので、売却したら損失確定で、非課税という特典は受けられません。
結局NISAでできることとは
ナンピンを行える投資資金が残っていれば、ナンピンを行うのが良い方法だと思われます。しかし、100万円と投資資金が限られていますので、銘柄によってはナンピンできるとは限りませんし、底値で買えるかはわかりません。かと言って損切りを行えば、損失が確定するだけです。では、口座を移管する方法ですが、時間を活かして損失が減る可能性にかける方法もあります。過去10年、日本の株式市場を見ても、10年一貫して上がり続けたでしょうか?10年一昔とも言うくらいですから、10年前の銘柄が再び輝く可能性があります。時間をかける=可能性に期待するしかないでしょう。
NISAで非課税を受けられるのは儲かった場合のみです。上昇基調にある時であれば、恩恵を受けられる可能性は高いと言えます。しかし、下落基調の時には、買うタイミングや買う銘柄をよほど選別しなければ、恩恵を受けることは難しいでしょう。非課税に惑わされず、NISAでも安い時に買うのが鉄則と肝に銘じておくべきなのではないでしょうか。