株式戦略マル秘レポート/戸松信博の「海外投資、注目銘柄はここ!」

電子商取引で世界最大のアリババが米国へ上場申請(3ページ目)

電子商取引取扱高で最大手であるアリババグループ(阿里巴巴集団)が米国での新規株式公開を申請しました。同社株への投資はすべきかどうかを検証したいと思います。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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直近の決算は成長加速、上場タイミングはベスト

上場目論見書に書かれた直近の業績は、同社自身の過去と比べても華々しい数字

上場目論見書に書かれた直近の業績は、同社自身の過去と比べても華々しい数字

直近の2013年4~12月の9カ月間におけるアリババグループの総売上高は404億7300万人民元で、前年同期に比べて+56.6%増でした。売上のうち82.7%を3大サイトが占めました。営業利益は+98.9%増、純利益は+304.8%増となる177億4200万人民元でした。

規模の拡大によって各利益率水準も上がっており、粗利益率で75.5%、純利益率は43.8%となります。通期ベースの純利益率は前年、前々年と20%台で推移していました。上場目論見書に書かれた直近の業績は、同社自身の過去と比べても華々しい数字となっています。バランスシートは上場後の資金調達で大きく変わりますが、参考まで最新状況は以下の通りです。
バランスシートも健全

バランスシートも健全

香港に新規上場したAlibaba.com(01688)は上場時が最高値だったが・・・

今回の上場で想い出されるのは2007年11月に香港に新規上場したAlibaba.com(01688)です。2007年秋といえばリーマンショック前の上昇相場のピークをつけた時でした。当時の香港でもこの上場劇は大変話題となり、Alibaba.com株は公開価格の+122%高となる30香港ドルで初値をつけ、その日の終値を39.5香港ドルまで伸ばしました。上場で1700億円以上を調達し、時価総額は2兆円を超える大型上場でした。しかし上場初日が同社株の最高値となり、その後金融危機もあった事が影響しますが、株価は約4香港ドルまで暴落したのでした。そして最終的にAlibaba.comは2012年6月に上場廃止され、今回親会社にあたるグループ企業全体が、米国で改めて上場するという形になります。

Alibaba.comの株価は高値から僅か1年で10分の1まで暴落したのでしたが、当時同社の業績は好調そのものでした。大変高い成長を続け、元々高かった利益率も増していった中で、株価だけが暴落したのです。つまり、このケースにおいて株価と業績は無関係だったのです。上場当時の香港市場はハンセン指数が過去最高値をつけた直後の活況相場であり、最大限強気の中で話題のIPO銘柄は空前の高値をつけ、金融危機で投資マインドが冷え込むと株価1/10になったということになります。

今回のアリババグループの米国上場もダウが最高値をつける中で行われ、世界中から大変な注目を集めています。恐らく状況からして高値で上場してくると思われます。そして今後出てくるアリババの業績・決算は素晴らしいものとなるでしょう。しかし業績が良い事は07年香港のAlibaba.comと同じです。要するに業績よりも投資マインドの問題であり、相場のピークで注目の大型株が高値で上場されると、その高値を維持することは容易ではないと思います。フェイスブックも上場初日が当面1年間の最高値となりました。

参考:グローバルグロースレポート

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。

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