株式戦略マル秘レポート/戸松信博の「海外投資、注目銘柄はここ!」

電子商取引で世界最大のアリババが米国へ上場申請(2ページ目)

電子商取引取扱高で最大手であるアリババグループ(阿里巴巴集団)が米国での新規株式公開を申請しました。同社株への投資はすべきかどうかを検証したいと思います。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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2013年の取扱高は約25兆円で世界最大

2013年の取扱高は約25兆円で世界最大

2013年の取扱高は約25兆円で世界最大

アリババグループは傘下に多数の子会社を持ちますが、同社の運営する三大サイト(売上の8割以上を占める)は、ヤフー・オークションのようなC2C(消費者間の取引)プラットフォームである「Taobao Marketplace(淘宝網)」、楽天モールのようなB2C(ブランドや小売店などの法人が消費者に販売)プラットフォームの「Tmall(天猫)」、そして共同購入サイトの「Juhuasuan(聚劃算)」です。

2013年は、この3つのマーケットプレイス合計で2,480億米ドル(約25兆円)もの総取扱高がありました。ただし、自らが小売店となって在庫を持ちながら販売するアマゾン(AMZN)とは違い、この莫大な総取扱高はアリババの売上高ではありません。あくまで第三者にオンライン上の販売場所(マーケットプレイス)を提供しているだけであり、第三者同士の販売契約金額がそれほどにもなると言うことです。

同社が「世界最大」と言っているのはこの「総取扱高」のことです。売上高ベースだとアマゾンの方が10倍以上も大きな世界最大のeコマース会社となります。アリババは運営サイト上で発生する取扱高から「場所代」として一定の手数料を得ているのみで、それが同社の売上高となります。2013年の同社売上高は55億5,300万米ドルでした。アマゾンの同時期の売上高は744億5,200万米ドルでした。

上の三大サイト以外にも初期からあるB2B(企業間取引)プラットフォームのAlibaba.com(07年に香港市場へ上場、その後上場廃止)、アマゾンのクラウドサービス・プラットフォームであるAmazon Web Serviceに相当するAliyun.com(阿里云)、そのほかショッピング情報の検索サイトなども運営しています。また馬会長の支配する別企業に米国Paypalに相当するAlipay.com(支付宝)があり、マーケットプレイスでの支払に用いられています。

モバイルを中心にユーザーが急増

取扱高以外の主な数字も見ておきましょう。同社サイトのアクティブ・バイヤー数は2013年末に2億3,100万人となりました。このところ伸びが加速しており、3ヶ月間で3千万人近くも増えました。年間のオーダー数は113億回にもなり、アクティブ・バイヤー一人当たり年間に49回の注文をしています。モバイルユーザーが増えており、月間のモバイル・アクティブ・ユーザー数は1億3,600万人となりました。総取扱高に占めるモバイル端末からのオーダーは取扱高370億米ドルで全体の2割に達しました。取引のうち、別会社のオンライン決済システムのAlipay.com(支付宝)を通じた支払額は、累計で5,190億米ドルにも達しました。

同社の機会についてですが、中国の(特に郊外で)人口一人当たり小売店スペースは日本や欧州の半分以下、米国の4分の1以下と不足しています。そして中国でオンラインショッピングをする消費者は全体の7.9%にすぎませんが、今後2016年までに年率平均+27.2%ペースで成長して行くと見られています。中国のインターネットユーザー数は6億人を超え、うちモバイルユーザーは5億人もいます。このような状況から中国のネット売買市場は急成長が見込まれ、その潜在力はまだまだ充分発揮されていない段階と思われます。中国で「独身の日」とされる11月11日の「光棍節」の日は例年ネットショッピングが盛んですが、2013年のアリババはこの日だけで58億米ドルもの注文(アリペイ経由の支払い)を記録しました。

>>同社の業績やバランスシートは?次のページも要チェックです!
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